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大阪健康安全基盤研究所

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生や加熱不十分な鶏肉によるカンピロバクターの食中毒にご用心!

掲載日:2024年1月29日

近年、カンピロバクターという細菌による食中毒が、多く発生しています。この菌に汚染された食品を食べると、2~5日間経った頃、下痢や血便・腹痛・発熱(多くの場合は38~39度と高熱です)などの症状が現れます。では、どのような食品にカンピロバクターが潜んでいるかご存知ですか?

1.大安研では幅広い食品を対象にカンピロバクターの検査を実施しています

大安研では、大阪府内の食品製造施設や販売施設から採取された食品について収去検査注1)を実施しています。カンピロバクターの検査は、肉類、魚介類、野菜などの未加熱食品や加熱調理済み食品を対象に行っています。

大安研で実施した2018年度から2022年度の検査結果を表に示します。
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1586検体中、116検体(7.3%)がカンピロバクター陽性となりました。陽性となった検体のうち、115検体が鶏肉(肝・砂肝などの内蔵肉を含む)で、残り1検体が総菜半製品2(鶏肉の醤油麴漬け)でした。
これら1586検体については、カンピロバクター以外に食中毒の原因となる細菌の「サルモネラ」と「腸管出血性大腸菌;EHEC」も検査しました。その結果、EHECは全て陰性でしたが、サルモネラは272検体(17.2%)が陽性でした。サルモネラ陽性となった検体のうち、255検体は鶏肉でした。

1)収去検査:食品の安全性を確保するため、食品衛生法に基づいて行政機関が実施する食品の抜き取り検査。
2)総菜半製品:総菜の仕上げ前まで加工しているが、生に近い状態であるため、消費者自身が焼くなどの加熱調理を行う必要のある食品。

2.鶏肉はカンピロバクターとサルモネラの汚染率が高い!

鶏肉の汚染状況を詳しく見てみましょう(図)。鶏肉503検体のうち、115検体(22.9%)がカンピロバクター陽性、255検体(50.7%)がサルモネラ陽性でした!なお、80検体(15.9%)は両方の菌が陽性でした。

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図.鶏肉におけるカンピロバクターとサルモネラの汚染状況

3.食中毒を防ぐために

未加熱の鶏肉(内蔵肉を含む)では、カンピロバクターやサルモネラの汚染率が高いことがわかりました。ですが、だからといって、鶏肉が危ない!というわけではありません。
以下のことに注意して、美味しく食べてください。

●生または加熱不十分で食べず、しっかり加熱する。
刺し、鶏のたたき、鶏わさ、鶏レバ刺し・・・のように十分に加熱されていないものは要注意です。カンピロバクターは少しの菌量(数百個程度)で感染するので、汚染されていた場合、鶏刺し1切れで感染することがあります。カンピロバクターやサルモネラは熱に弱いので、しっかり加熱調理をしてください。

●2次汚染に気を付ける。
鶏肉を切った後の包丁やまな板、手指を介して、他の食品がカンピロバクターやサルモネラに汚染されてしまうことがあります。鶏肉を切った後は、調理器具や手指をしっかり洗剤や石鹸で洗ってください。

家にまな板や包丁が1つしかない場合は、サラダなど生で食べる食品を鶏肉より先に調理するなど、料理の順番を工夫するのも一手です。

 

お問い合わせ

微生物部 細菌課
電話番号:06-6972-1368