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大阪健康安全基盤研究所

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食品の収去検査とは?~細菌検査の場合~

掲載日:2018年8月1日

博士食品の収去検査とは?~細菌検査の場合~

食品の収去検査とは、市販食品の安全性を確保するため、食品衛生法に基づいて行政機関が実施する「食品の抜き取り検査」です。大阪府の場合は、毎月、保健所の食品衛生監視員が、府内のスーパーマーケットや食品の製造・販売施設を回って、そこから食品や原材料を採取して当所に搬入します。2017年度は、当所細菌課には2,275検体が搬入され、3,878項目の細菌検査を実施しました。検査には、それらの採取された食品や原材料が食品衛生法で定められている「食品衛生を確保するために最低限守らねばならないルール(=規格基準)」に適合しているかどうかを確認する検査と、食中毒の原因となるような有害な微生物が含まれていないことを確認する検査があります。そこで、それぞれの検査について、少し詳しくお話しします。

 

1. 食品が規格基準に適合していることを確認する検査について

現在、生食用鮮魚介類や冷凍食品、乳製品などの様々な食品には、製造基準・保存基準・成分規格などの規格基準が、それぞれ定められています。各規格基準については、厚生労働省のホームページ*1)にわかりやすく記載されています。なお、これらの規格基準に適合しない食品は製造、調理および販売することができないため、不適合が明らかになれば食品衛生法違反となり、すみやかに回収や廃棄などの措置が取られます。

検査は1年を通して実施していますが、検査の対象となる食品の種類は毎月異なります。例えば、夏季には腸炎ビブリオ食中毒が発生しやすいことから、その原因となる「生食用鮮魚介類」の検査を行います。また、冬季には、流通量が多くなる「魚肉ねり製品」や「生食用かき」の検査を行います。

表は過去(20084月~20186月)に当所細菌課で実施した検査で明らかとなった違反事例です。

 

. 過去の規格検査(細菌検査)における食品衛生法違反事例

検査年度

検査対象品

食品衛生法違反内容

2008

乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%未満のもの)

乳酸菌数の不足

2010

魚肉ねり製品

大腸菌群の検出

2011

食肉製品

リステリア菌の検出

生食用かき

細菌数の超過

2012

生食用食肉

腸内細菌科菌群の検出

2014

乳酸菌飲料(無脂乳固形分3.0%以上のもの)

乳酸菌数の不足

生食用かき

細菌数の超過

2017

魚肉ねり製品

大腸菌群の検出

2018

生食用食肉

腸内細菌科菌群の検出

 

2. 食品に有害な微生物が含まれていないことを確認する検査について

市販食品や原材料が、食中毒の原因菌に汚染されていないかどうかを検査します(=汚染実態調査といいます)。この汚染実態調査で陽性となった場合、施設の衛生管理や食品の取扱等について行政の担当者が調査・指導を行います。検査の対象には、その時々で社会的に大きく問題となったものを取り入れるようにしています。たとえば、市販の乳製品を原因とする黄色ブドウ球菌による大規模食中毒(2000年)や、市販の白菜の浅漬けを原因とする腸管出血性大腸菌O157による大規模食中毒(2012年)が起こったのを契機に、乳製品については黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンの検査を、浅漬けについては腸管出血性大腸菌の検査を実施しています。今までに、市販の乳製品から黄色ブドウ球菌のエンテロトキシンが検出されたことはありませんが、浅漬けの腸管出血性大腸菌の検査では、過去に1検体が陽性となりました。

 

当所細菌課では今後も、質の高い、時代のニーズにあった細菌検査を行い、府民の皆様の食の安全を確保するため、より一層努力してまいります。

 

 

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お問い合わせ

微生物部 細菌課
電話番号:06-6972-1368