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大阪健康安全基盤研究所

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食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度の本格運用がスタートしました

掲載日:2025年6月4日

令和2年6月1日に導入された食品用器具・容器包装のポジティブリスト(PL)制度の5年間の経過措置期間が終了し、本格運用がスタートしました。令和7年6月1日以降、食品の器具・容器包装に用いる合成樹脂(プラスチック)については、原則ポジティブリストに収載されていない原材料は使用できません。今回はポジティブリスト制度の内容についてご紹介します。

ポジティブリスト制度とは

改正前の食品衛生法では、禁止されている材料・物質や基準値をリスト化し、それ以外を許可するネガティブリスト(NL)制度が採用されていました。それに対して、今回上乗せして導入されたポジティブリスト制度とは、安全性を評価した物質(使用を認める物質)をリスト化し、それ以外の物質の使用は原則禁止するという規制の仕組みです。ポジティブリストは「食品衛生法の食品、添加物等の規格基準の別表第1」のことであり、第1表に合成樹脂の基材が、第2表に添加剤等とその使用制限が示されています。ポジティブリストは消費者庁のホームページに掲載されていますので、ご覧ください[1]。また、第1表で規定する合成樹脂の構成成分等については、「食品、添加物等の規格基準別表第1第1表に規定する基材を構成するモノマー等について」[2]をご参照ください。

令和2年に公布されたポジティブリストは令和7年5月31日まで適用されていましたが、経過措置期間中に再整理され、改正されました。令和7年6月1日以降は、改正後のポジティブリストが適用されます[3]。

ポジティブリスト制度の対象

食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度の対象は、食品衛生法において定義されている食品又は添加物に使用される器具・容器包装のうち、材質が合成樹脂のものになります。以下に、ポジティブリスト制度の対象となるかを判断するための4つのポイントを示します。

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ポイント1:食品の器具・容器包装に用いる合成樹脂であるか?

食品衛生法第1章第4条の1、2、4及び5項に「食品」「添加物」「器具」及び「容器包装」の定義が示されていますので、器具・容器包装に該当するかご確認ください[4]。

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さらに、ポジティブリスト制度の対象となる材質は、「合成樹脂」と定められています。合成樹脂には、熱可塑性樹脂(例:ポリエチレン、ポリスチレン)、熱硬化性樹脂(例:メラミン樹脂、フェノール樹脂)、熱可塑性エラストマー(例:ポリスチレンエラストマー、スチレン・ブロック共重合体)が含まれ、ゴム(熱硬化性エラストマー)(例:ブタジエンゴム、ニトリルゴム)は含まれません[5]。

ポイント2:令和2年6月1日より前に製造・輸入等したものであるか?

令和2年6月1日より前に、製造したもの、輸入したもの、販売したもの及び営業上使用したものは、ポジティブリスト制度の対象外となります[5]。

ポイント3:経過措置期間(令和2年6月1日から令和7年5月31日)に製造・輸入等したものであるか?

令和2年6月1日より前に販売され、製造され、輸入され又は営業上使用されている器具・容器包装と同様のもの(注)が販売され、製造され、輸入され又は営業上使用されている場合については、当該器具・容器包装に限り、ポジティブリスト適合とみなされ、令和7年6月1日以降も販売や営業上の使用を行うことができます[5]。

令和2年6月1日より前に販売され、製造され、輸入され又は営業上使用されている器具・容器包装と同様のものではない場合は、令和7年5月31日までのポジティブリスト制度に適合している必要があります。

注:「同様のもの」とは、令和2年6月1日より前に製造等の実績のある器具・容器包装に使用されていた物質をその使用されていた範囲内で使用する場合であり、これまで使用経験のない基材に対して添加剤を使用する場合、添加剤をこれまで使用経験のない量に増量して使用する場合等は同様のものにはなりません。

ポイント4:令和7年6月1日以降に製造・輸入するものであるか?

令和7年6月1日以降に器具・容器包装の製造及び輸入を行う場合は、令和7年6月1日以降のポジティブリストに収載されている物質を使用する必要があります。

なお、ポジティブリスト制度の対象となる器具・容器包装を製造する営業者は保健所への「届出」と、その製造において「一般衛生管理及び適正製造管理(GMP)の基準を遵守」する必要があります[6]。また、ポジティブリスト制度の対象となる器具・容器包装を販売等する営業者は、それらを使用する販売先の食品製造事業者等が、ポジティブリスト制度に適合する器具・容器包装であることを確認することができるように、適合している事実(成分等の個別物質の開示は不要)を販売先に「情報伝達」する必要があります[1,6]。

ポジティブリスト制度についてのお問い合わせ

大阪健康安全基盤研究所は大阪府及び大阪市が設立した地方衛生研究所であり、大阪府内を流通する器具・容器包装の安全性確保に関する検査・研究業務を実施しています。

ポジティブリスト制度の詳細に関するご質問は、消費者庁等へお問い合わせください。
また、消費者庁ホームページに掲載されているQ&Aもご参照ください[5]

<消費者庁ホームページ:器具・容器包装、おもちゃ、洗浄剤(担当:食品衛生基準審査課)>https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance

 

関連資料

[1] 消費者庁ホームページ:食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について(2025年6月1日以降)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new

[2] 消費者庁ホームページ:食品、添加物等の規格基準別表第1第1表に規定する基材を構成するモノマー等について (令和5年11月30日健生食基発1130第1号) (最終改正:令和6年9月27日) (訂正:令和7年5月28日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new/
assets/cms_standards101_250528_04.pdf

[3] 消費者庁ホームページ:食品、添加物等の規格基準の一部改正について (令和5年11月30日健生発1130第4号) (最終改正:令和6年9月27日)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new/
assets/standards_cms101_240927_16.pdf

[4] 食品衛生法第一章第四条
https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000233/#Mp-Ch_1

[5] 消費者庁ホームページ:器具及び容器包装のポジティブリスト制度に関するQ&A (2025年5月14日付け事務連絡)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new/
assets/standards_cms101_250515_01.pdf

[6] 消費者庁ホームページ:食品衛生法施行規則の一部を改正する省令の施行に伴う関連通知の改正について (令和5年12月27日生食発1227第3号)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/standards_evaluation/appliance/positive_list_new/
assets/001184986.pdf

 

お問い合わせ

衛生化学部 食品安全課
電話番号:06-6972-1110