食品中の着色料について
掲載日:2023年3月8日
食品添加物としての着色料
食品添加物には、食品の品質、風味、保存性の向上や栄養価の強化など様々な役割があります。 当法人のホームページでは、これまで食品添加物に関する記事を掲載しています(おうち時間に食品添加物への理解を深めよう)。
本稿では、食品添加物としての「着色料」について紹介します。
着色料について
着色料は、食品の色合いをよくするために使われます。 ただし、食肉、鮮魚介類や野菜類に着色料を使用することは禁じられています。 これらの食品は着色料で色を付けてしまうと鮮度がわからなくなることから、その使用は認められていません。
着色料は化学的に合成されたものと植物等から抽出されたものに分けられます(表)。
石油などを原料に化学的に合成された着色料は、以下の12種類であり、タール色素ともいわれます。 これらは安全性が評価され、厚生労働大臣が指定した食品添加物(指定添加物)です。
食用赤色2号 食用赤色3号 食用赤色40号 食用赤色102号 食用赤色104号
食用赤色105号 食用赤色106号 食用黄色4号 食用黄色5号 食用青色1号
食用青色2号 食用緑色3号
昭和22年に制定された食品衛生法の施行規則の中では、指定添加物に22種類の合成着色料が含まれていましたが、安全性が確保できないものや、使用歴がないものは消除されたため、タール色素の番号が飛び番になっています。
一方、植物等から抽出され製造される着色料は、121種類あります。 我が国において広く使用されており、長い食経験があるものは既存添加物として使用されています。 ベニバナ色素、クチナシ色素のほかに、ウコン色素およびコチニール色素などが含まれます。 また、一般飲食物添加物は、果汁など一般に飲食に供されているものを添加物として使用するものであり、オレンジ果汁などが含まれます。
着色料の表示
原則として、使用した全ての食品添加物を「物質名」で食品に表示しなければなりません。 その際、食品添加物とそれ以外を区分し、重量の多いものから順に記す必要があります。
図1にチョコレートの例を示しますが、原材料名欄に原材料と斜線で区分して、着色料の使用が表示されています。 黄4、黄5、赤40、青1は、それぞれ食用黄色4号、食用黄色5号、食用赤色40 号、食用青色1号を指しています。 このように様々な色を作り出すために、着色料をいくつか混ぜ合わせて使用されることがあります。 例えば、緑色は黄色と青色を混合し、オレンジ色は赤色と黄色を混合して作ります。 混合割合を変えることで色調を変えることができます。
着色料の検査
大安研では、大阪府内で流通する加工食品を対象にタール色素の行政検査を実施しています。 食品から色素をアルコール等で抽出し、色素以外の成分をできるだけ取り除いた後、機器等を用いて、どのような着色料が含まれているか調べます。 検出されたものが我が国で食品に使用が認められているか、また、その着色料が添加物として正しく表示されているかを確認しています。
着色料を分析機器(液体クロマトグラフ)で測定した結果(クロマトグラム)の一例を図2に示します。 ここでは、着色料が光を吸収する性質を利用しています。 着色料の色によって吸収する光の波長は異なるため、赤色は520nm(ナノメートル)、黄色は450nm、青色は620nmの吸光度を測定します。 図2の縦軸は吸収の強さ、横軸は時間を表しています。 図2のように色ごとに分けることができますが、食用黄色5号のように赤色と黄色の両方の波長を吸収しているものや、食用黄色4号のように黄色のみの吸収を持つものがあります。 これは前者がオレンジ色であること、後者は黄色であることを示しています。
大安研では、引き続き、着色料の行政検査を実施するとともに、食の安全にかかる適正な情報の発信を進めてまいります。
参考資料
1)厚生労働省|食品添加物
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/syokuten/index.html
2)公益財団法人日本食品化学研究振興財団
https://www.ffcr.or.jp/tenka/index.html
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