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大阪健康安全基盤研究所

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豚肉ミンチをきちんと加熱したのに生焼けのようなピンク色だったことはありませんか?

掲載日:2018年2月26日

ご家庭で餃子、メンチカツ、ハンバーグ、ロールキャベツなどを作ったら、十分に時間を掛けて加熱しているのに中の肉が生肉のような色(ピンク色)だったことはありませんか?

原因は肉の発色現象です。通常、肉は熱を加えると褐色になりますが、加熱によりピンク色に変化することがあります。これは肉に含まれるミオグロビンという成分が亜硝酸塩と結びつくことで起こります。ハムやソーセージの製造時には、発色剤としてこの「亜硝酸塩」を加えて、見た目をきれいなピンク色に変化させることがあります(意図的な発色)。また、ロールキャベツ等の具材であるタマネギやキャベツの中に含まれている硝酸塩が微生物によって「亜硝酸塩」に還元された場合、同じ現象が起こる可能性があります。肉に具材を加えてすぐに加熱すれば発色しませんが、しばらく放置していた場合、野菜中に含まれる硝酸塩が還元されてできた「亜硝酸塩」とミオグロビンが結合し、加熱によりピンク色に発色することがあります(非意図的な発色)。野菜中の硝酸塩は、水洗いや茹でることによりある程度は除去されます(注1)ので、野菜をよく洗って水切りしてから加えることで、非意図的な発色を抑えることは可能です。

肉の発色現象
図 肉の発色現象

ソーセージやハム等に「亜硝酸塩」を食品添加物(発色剤)として使用することで、色がよくなる以外にも次のような利点があります(注2)。

  • 肉の獣臭さをなくす
  • 熟成されて美味しい食肉加工品ができる
  • 肉の保存性を高める
  • 食中毒の原因菌であるボツリヌス菌の繁殖を抑制する

食品添加物というと、その安全性が気になる方もいらっしゃるかもしれません。食品添加物としての硝酸塩(硝酸カリウム、硝酸ナトリウム)と亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)については、食品衛生法で、亜硝酸イオン(亜硝酸根)の残存量としての使用基準が食肉製品等について定められています。

大阪府では、不良食品を排除するために、府内に流通する食品等を対象として、食品添加物などの食品衛生にかかる監視指導を計画しており、その検査を大阪健康安全基盤研究所で行っています(注3)。当所では、迅速で正確な検査を実施することで、食品の安全性の確保を図り、食の安全安心向上に貢献できるように努めています。

(注1)農林水産省ホームページ:調理と硝酸イオン(外部サイトへのリンク)
( URL: https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/syosanen/sessyu/001.html )

(注2)内閣府食品安全委員会ホームページ:科学の目で見る食品安全 令和3年3月更新版(外部サイトへのリンク)
( URL: http://www.fsc.go.jp/kids-box/index.data/2017.4.14kagakunome.pdf )

(注3)大阪府ホームページ:食品衛生監視指導計画に基づく検査結果(外部サイトへのリンク)
( URL: https://www.pref.osaka.lg.jp/shokuhin/kanshikeikaku/kennsakekka.html ) 

(本記事は、2021年10月1日に内容を更新しました)

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