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大阪健康安全基盤研究所

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「食品中の病原性腸炎ビブリオの汚染」を判定する迅速、簡便な検査法(イムノクロマト法)を開発しました

掲載日:2020年7月31日

腸炎ビブリオ食中毒とは?

腹痛

腸炎ビブリオは海水中に普通にみられる細菌です。その一部には「ヒトに感染して下痢を起こす」病原性があるため、この病原性腸炎ビブリオが多量に付着した食品をヒトが食べると食中毒が起こる場合があります。病原性腸炎ビブリオは、下痢を起こす原因である「耐熱性溶血毒(TDH)」や「TDH類似溶血毒(TRH)」という毒素を産生します。

 

腸炎ビブリオ食中毒を予防するためには?

食中毒を防止するためには、病原性腸炎ビブリオに汚染された食品を市場に流通させないようにすることが重要です。しかし、一般的に行われている食品の腸炎ビブリオ検査では、最終的な検査結果が得られるまでに非常に長い日数(3日~5日)を必要とします。

「食品中の病原性腸炎ビブリオの汚染」を判定する迅速、簡便な検査法の開発

そこで、我々は、食品の病原性腸炎ビブリオ汚染を簡便、迅速に検査するため、病原性腸炎ビブリオが産生するTDH/TRHを簡易に検出できるキット(TDH/TRH検出キット)を用いた検査法を新たに開発しました。この検査法で用いられるTDH/TRH検出キットは、イムノクロマト法の原理を応用した検出キットです(図)。本キットは、TDHTRHの各毒素を僅か15分以内に高感度(1 ng/mL)で検出することができます。また、このキットと新たに考案した増菌培地であるmSPP培地を併用した検査法を用いて、病原性腸炎ビブリオを添加した生カキを検査したところ、カキ25 gあたり1.122 CFUの感度で病原性腸炎ビブリオ汚染を検出することが可能でした。

本研究で開発したTDH/TRH検出キットとmSPP培地を組み合わせた検査法は、増菌培養時間を含めて8.5時間以内に検査結果が得られることから、従来法に比べ、検査日数を大幅に短縮することが可能です。したがって、食品の病原性腸炎ビブリオ汚染を検出するのに、有用な検査法であると考えられました。

TDH/TRHイムノクロマト




図)
TDH/TRH検出キット。A:陰性、B:両毒素とも陽性。

開発したTDH/TRH検出キットでは、陰性検体はコントロールラインのみが出現し、陽性検体は、このラインに加えて、 各毒素のテストラインが出現します。

 

  • 本内容は、「Development of a rapid immunochromatogaraphic assay for detection of enteropathogenic Vibrio parahaemolyticus-contamination in raw oyster」のタイトルでInternational Journal of Food Microbiology264号、p16-242018年)に掲載されました。

お問い合わせ

微生物部 細菌課
電話番号:06-6972-1368