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大阪健康安全基盤研究所

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海外への渡航時は狂犬病にご注意ください

狂犬病をご存じでしょうか?

狂犬病のイヌ

コロナ禍前に戻りつつある中で、海外旅行を考えておられる方も多いのではないでしょうか。そんな皆さんにご注意いただきたいのが「狂犬病」です。「狂犬病」という病気の名前は聞いたことがあっても、どんな病気かは知らないという人も多いと思います。なぜ狂犬病に気をつける必要があるのか、どのようなことに気をつけたら良いのかをQ&A方式でご紹介します。

 

Q1. そもそも「狂犬病」ってどんな病気ですか?

A1. 致死率の非常に高い「狂犬病ウイルスによる感染症」です。

狂犬病ウイルスは、ヒトを含む全ての哺乳類に感染します。感染した動物に咬まれることで唾液中のウイルスが傷口から体内に侵入します。ヒトが感染した場合、通常13か月ほどの期間(潜伏期)を経て発症します。高熱に加え、強い不安感、錯乱、麻痺、運動失調、全身けいれんなどの神経症状が現れた後、呼吸器障害などを示し死亡します。致死率はほぼ100%と非常に高く、注意すべき感染症です。狂犬病の症状として「恐水症」が有名ですが、これも神経症状の1つで、水を飲もうとすると首の筋肉がけいれんするために起こるものです。

 

Q2. 日本で狂犬病に感染した話を聞いたことがないのですが、海外では注意する必要があるのですか?

A2. 日本は世界でも数少ない清浄国です。世界の「ほとんどの国」で狂犬病が流行しています。

世界全域で狂犬病の患者が発生しており、アジア、アフリカを中心に年間5万人以上の人が狂犬病で亡くなっています。現在、狂犬病の発生がない国(清浄国)は日本、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、スカンジナビア半島などごくわずかです。つまり、ほとんどの国で狂犬病に感染する危険があるため、海外では動物に咬まれないようにするなどの注意をする必要があります。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/pdf/03.pdf

 狂犬病の分布

 

Q3. 狂「犬」病という名前の通りイヌに注意したら良いですか?

A3. イヌはもちろん、その他の動物にも注意しましょう!

イヌに咬まれて感染する事例がほとんどですが、ネコにひっかかれての感染など、イヌ以外の哺乳類による感染事例も報告されています。特に注意すべき対象として、下の図の動物が知られています。咬まれたりひっかかれたりしないよう、これらの動物には不用意に近づかない、手を出さないことが大切です。 狂犬病に注意すべき動物.jpg

 

Q4. 海外で動物から傷を受けたらどうしたら良いでしょうか?

A4. すぐに傷口を洗浄し現地の医療機関で「暴露後接種」を受けてください。

 

ワクチン接種

海外で動物に咬まれたり、引っかかれたりした場合、すぐに傷口を石鹸と水でよく洗いましょう。その後、現地の医療機関を出来るだけ早く受診し、暴露後接種を受けてください。「暴露後接種」とは、狂犬病の発症を予防するために狂犬病ワクチンを接種(34回)することです。

 

Q5. 自分が狂犬病に感染しているのか調べてから、暴露後接種を受けることは出来ないのですか?

A5. 発症前に感染を確認する方法はありません。直ちに暴露後接種を受けることが大切です。

暴露後接種にも費用がかかるため、感染の有無を確かめてから接種を受けたいという方もいるかもしれません。しかし残念なことに、狂犬病の発症前に感染を確認できる検査法は存在しません。狂犬病は発症してしまうと治療法がなく、致死率は約100%の恐ろしい病気です。感染した疑いがある場合は直ちに暴露後接種を受けましょう。有効な手段は、暴露後接種だけです。

 

Q6. 狂犬病の流行地に行く予定があるのですが、何かできる対策はありますか?

A6. 渡航前に予防接種を受けることができます。

予防接種により、狂犬病に対する免疫をつけておくことができます。狂犬病の流行地に渡航する場合で、近くに医療機関がない地域に長期滞在する方や動物との接触が避けられない方は、予防接種を受けておくことをお勧めします。ただし、予防接種を受けた方でも、動物に咬まれた場合には暴露後接種が必要になりますので、ご注意ください。

 

まとめ

・狂犬病は致死率約100%のウイルス感染症です。ウイルスを持った動物に咬まれて感染します。

・世界のほとんどの国で狂犬病が発生しています。

・イヌからの感染がほとんどですが、他の哺乳類からの感染事例もあります。

・動物には、むやみに近づかない、手を出さないことが大切です。

・海外で動物による怪我をした場合は、傷口を消毒し、直ちに現地の医療機関を受診しましょう。

・感染が疑われる場合は、速やかに暴露後接種を受けることが大切です。

・必要がある方は渡航前に予防接種を受けましょう。

 

狂犬病についてご理解いただけたでしょうか。928日は狂犬病のワクチン開発者パスツールの命日であることから、狂犬病デーに定められています。狂犬病について知識を身につけ、予防に役立てることを目的に定められました。海外に出る予定の無い方も、これを機に正しい知識を身につけましょう。興味の湧いた方は、以下のホームページもご確認ください。

 

厚生労働省 狂犬病Q&A

https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html

 

大安研ちゃんねる狂犬病デー

https://www.youtube.com/watch?v=6RbWVF7tSTc

 

海外に渡航する予定のある方は狂犬病に注意してくださいね。

お問い合わせ

微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1402