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大阪健康安全基盤研究所

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麻しん(はしか)について

掲載日:2018年12月28日

はじめに

「麻しん(はしか)」は、江戸時代に「命定め」の病として恐れられていました。日本では、1歳児と小学校入学前の幼児を対象とした「ワクチン2回接種制度」が2006年度から始まり、麻しんの患者数は大きく減少しました。このため、2015年3月に日本は、世界保健機関 (WHO)より「麻しん排除状態」として認定されました。しかし、世界には現在でも麻しんの流行している国が多数あり(図1)、日本の排除国認定後も、外国から麻しんウイルスが持ち込まれる輸入感染事例が相次いで報告されています。

輸入感染には以下の事例があり、いずれについても注意が必要です。
(i) 海外からの渡航者が国内に持ち込む事例
(ii) 日本の旅行者が渡航先で感染し、国内に持ち込む事例

人口100万人あたりの麻しん患者発生割合
図1 人口100万人あたりの麻しん患者発生割合
Global Measles and Rubella Update November 2018より改変


麻しんの特徴・症状

麻しんは「はしか」とも呼ばれ、パラミクソウイルス科に属する麻しんウイルスの感染によって起こる感染症です。麻しんウイルスの感染力は極めて強く、麻しんに対して免疫のない人が麻しんウイルスに感染すると、90%以上が発病します。

典型的な麻しんは、感染後10~14日間の潜伏期を経て、以下のように進行します。

  1. カタル期: 38℃前後の発熱、咽頭痛、咳、結膜充血などの風邪様症状が3~4日続いた後、一時的に熱が下がります。
  2. 発しん期: 再度39℃以上の発熱と同時に、全身に発しんが出現します。
  3. 回復期: 発しん出現後3~4日で解熱し、風邪様症状も改善します。

合併症として多いのは肺炎、中耳炎、脳炎ですが、特に重篤なものとして、7~10年の潜伏期を経て発症する亜急性硬化性全脳炎(SSPE)があります。SSPEの発生頻度は麻しん患者10万人に1人程度ですが、知能障害、運動障害が徐々に進行し、発症から平均6~9か月で死に至ります。

その他、麻しんウイルスに対する免疫が不十分な人(ワクチン接種歴が1回の方や、最後にワクチン接種してから長い時間が経過している方など)は、「修飾麻しん」を発症する可能性があります。発熱、発しんなどの症状が軽く、症状がみられる期間も短いのが特徴です。修飾麻しんの患者から、周囲の人へ感染が広がる可能性は低いことが報告されていますが、麻しんに対する免疫を持たない人には感染する可能性があります。

麻しんの予防

麻しんの有効な治療方法は未だありません。麻しんの感染と発症を防ぐ最も有効な手段は、「ワクチンを2回接種すること」です。母子手帳で接種歴をご確認ください。
麻しんウイルスを吸い込むことで感染しますが、マスクを装着しても感染を防ぐことは困難です。特に海外へ渡航する際には、渡航先での感染症の流行状況を確認し、必要に応じてワクチンを接種してください。

みなさまへ

麻しんの初期症状は「発熱・咳・鼻水」で、通常の風邪症状と同じです。修飾麻しんの場合はより症状が軽いため、見過ごされやすく、注意が必要です。海外の麻しん流行地域に旅行後、体調不良がみられた場合、感染拡大を防ぐため早期に医療機関を受診してください

麻しんの疑いがあるのは次の場合です。
1.症状(発熱、せき、鼻水、眼球結膜の充血、発しん等)があり、
2.熱から3日過ぎた赤みを伴う発しん
3.1か月以内に麻しん患者と接触していた場合
4.麻しん流行国(東南アジアやヨーロッパ)への最近の渡航歴がある場合

医療機関を受診する際には、事前に電話連絡等にて麻しんの疑いを伝え、指示に従ってください。

 

お問い合わせ

微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1402