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大阪健康安全基盤研究所

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いつもと違う?インフルエンザの流行について

<インフルエンザとは?>

インフルエンザはインフルエンザウイルスを原因とする呼吸器感染症です。流行の規模に大小はありますが、毎年人口の約10%前後が感染すると言われる我が国最大の感染症の一つです。のどや鼻だけに症状の出る「はなかぜ」とは異なり、典型的なヒトのインフルエンザは、高熱、関節痛、だるさなど、全身に症状がでる疾患です。ほとんどの人はかかっても自然に治りますが、特にハイリスクグループといわれる、65歳以上の高齢者、乳幼児、基礎疾患(心臓疾患・呼吸器疾患・腎臓疾患・糖尿病など)がある人たちにとってインフルエンザは重症化することもある感染症です。

 

<今年の流行は?>

インフルエンザは、「定点あたり報告数」*1.0を超えると流行期に入ったと判断されます。これは、該当の週に1医療機関あたりのインフルエンザ患者数が1名を超えたことを意味しています。

インフルエンザは、毎年12月ごろから患者が増え始め、翌年1月下旬から2月の始めにかけて流行のピークを迎える疾患として捉えられてきました。ところが、新型コロナウイルス感染症が流行した2020年の年末から2022年の春までの2冬はインフルエンザの流行が見られませんでした。

1に大阪府の「インフルエンザ定点あたり報告数」の推移を示しています。オレンジ色の折れ線は202211月からの流行、比較として青の点線でコロナ前の20182019年の流行を示しています。2022年の冬には3シーズンぶりの流行が見られましたが、以前とは異なり、56月になっても少数の患者報告数が続き、7月には再び増加し、8月の末には再び定点あたり報告数が1.0を超え流行期となっています。さらに夏休みが終わった後の9月からはインフルエンザによる学級閉鎖も発生しています。

 インフルエンザ定点当たり患者数2023

全国的に見ても、ほとんどの都道府県で9月以降に患者数が増加し、一部の地域ではピークに達した後、患者数が減少に転じている地域もありますが、依然として流行している地域もある珍しい状況です。

 

<原因ウイルスについて>

ヒトで流行を起こす、いわゆる“季節性インフルエンザ”の原因ウイルスにはA型とB型があり、A型はさらにAH1pdm09亜型とAH3亜型に、B型はVictoria系統とYamagata系統に分かれます。インフルエンザで医療機関を受診すると、迅速診断キットでインフルエンザかどうかの検査が実施されます。迅速診断キットでは、A型、B型または陰性の結果が判定されます。当所では医療機関にて採取された臨床検体(患者の鼻汁やのどのぬぐい液)からインフルエンザウイルスを分離、検出し、さらに詳しい亜型、系統を調べています。図2に当所にて11月までに検出されているウイルスをグラフにしました。流行株はほとんどA型です。どちらの亜型も検出されていますが、9月の半ば以降はピンク色で示すAH1pdm09亜型の検出が増加しています。

 インフルエンザ検出亜型2023

<予防について>

インフルエンザは予防が大切で、インフルエンザワクチンを受けるのが効果的です。ワクチンが十分な効果を発揮するには、接種してから2週間程度が必要ですので、早めにワクチンを受けておきましょう。

ワクチンバイアルとシリンジ

インフルエンザウイルスは、患者さんの咳、くしゃみとともに空中に放り出され、他の人に吸い込まれることで感染します。ワクチン以外の一般的な予防方法として、手指の消毒、うがい、マスクなどを併用することも有効です。
注釈「定点あたり報告数」とは、「インフルエンザ定点」として指定された医療機関(大阪府内は300)において1週間にインフルエンザと診断された患者の報告数の合計を定点医療機関数で割ったものです。



お問い合わせ

微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1402