コンテンツにジャンプメニューにジャンプ
大阪健康安全基盤研究所

トップページ > 感染症 > 中東呼吸器症候群(MERS)について

中東呼吸器症候群(MERS)について

掲載日:2018年10月12日

「中東呼吸器症候群(MERS)」は、新しい感染症の一つであり、近年海外での感染例が相次いで報告されています。今回はMERSについて詳しくご紹介します。

 

MERSの原因ウイルス

CoV
MERSコロナウイルス
(CDCホームページより)

世界で初めてMERSが報告されたのは、2012年にサウジアラビアで入院患者の60歳男性の喀痰から新規コロナウイルスが分離されたことによります。

この新規コロナウイルスは、中東で発見されたことから、後にMERSコロナウイルス(Middle East respiratory syndrome coronavirus)と命名されました。MERSコロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群(SARS)コロナウイルスと同様に、一本鎖プラス鎖RNAを持つコロナウイルス科ベータコロナウイルス属に分類されます。

感染の症状と要因

発熱、咳、呼吸困難などの呼吸器症状が主であり、喀血、胸痛、筋肉痛などもあります。潜伏期間は、214日です。幅広い年齢層で発生しますが、好発層は中高年の男性です。

中東やアフリカに生息するヒトコブラクダがMERSコロナウイルスを有することから、ヒトコブラクダとの濃厚接触が感染要因と考えられています。具体的には、ヒトコブラクダの未処理肉や未殺菌乳の摂取や、尿と接触することでヒトへの感染が成立します。日本のヒトコブラクダについては、MERSコロナウイルスを有するものは発見されていません。また、ヒトコブラクダだけではなく、コウモリからもMERSコロナウイルスが発見されましたが、ヒトには感染しないことが報告されています。

 

主な感染事例について

日本での感染者は確認されていませんが、2017年までに海外では2,000例以上が報告されています。サウジアラビアやアラブ首長国連邦などの中東だけでなく、アメリカなどでも、MERSコロナウイルスの感染者が発生しています。

韓国では、2015年と先月(20189月)に感染事例がありました。いずれの事例も中東地域より帰国後にMERSを発症しています。2015年の事例では感染が拡大し、最終的な確定感染者は186名(うち38名が死亡)となりました。これは、診断の遅れや韓国の習慣である「お見舞い」や「ドクターショッピング(様々な医療機関を受診する)」等が要因と考えられています。

  

MERSの死亡率は20%を超えているため、感染を拡げないことが重要です。ヒトからヒトへの感染例は限定的ですが、最近では医療に関係した感染の報告があります。現在日本では、全数把握感染症第二類疾患にMERSが指定され、MERSと診断された場合、医師が直ちに最寄りの保健所に届けることが義務付けられています。海外へ渡航する際には、渡航先での感染症の流行状況を確認し、基本的な衛生対策(手洗い、うがい、マスク等)を心がけることが大切です。

 

お問い合わせ

微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1321