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大阪健康安全基盤研究所

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新型コロナウイルス 新規変異株 オミクロン株について

掲載日:(2021年12月1日) 2022年2月24日更新

概要

世界的な感染拡大が認められている新型コロナウイルスは、各地で様々な変異株が報告されており、大きな流行の原因となっています。世界保健機関(WHO)は、南アフリカなどで検出された新型コロナウイルスの新たな変異株を2021年11月26日に「オミクロン株」と命名し、警戒度が最も高い分類の「懸念される変異株VOC(Variants of Concern)」として指定しました(1)。日本においても11月28日にオミクロン株はVOCに指定されました(1)。なお、オミクロン株はPANGO系統でB.1.1.529(BA.1、BA.2、BA.3系統含む)に分類されます。
★ PANGO(Phylogenetic Assignment of Named Global Outbreak):
新型コロナウイルスに関して用いられる国際的な系統分類命名法であり、変異株の呼称として広く用いられています。

海外における状況

2021年11月24日に南アフリカから報告(2)されたオミクロン株は、アフリカ地域をはじめ、ヨーロッパを中心に世界各国から報告されています(1,3)。
WHOの2月1日時点の疫学週報によると、直近30日間でGISAIDに登録されたゲノム解析結果433,223株のうち93.3%がオミクロン株であり、デルタ株は6.7%、その他の株は0.1%未満でした。オミクロン株のうちBA.1が96.4%を占めていますが、BA.2が世界57か国でGISAIDへの登録があり、複数の国でBA.2の割合が増加傾向を示し、50%以上を占める国も存在します(4)。
 GISAID(Global Initiative on Sharing Avian Influenza Data):
インフルエンザウイルスおよび新型コロナウイルスのゲノム配列情報の国際的なデータベース

参考 outbreak.info:Omicron Variant Report

日本における状況

2021年11月30日に国内初の感染が空港検疫で確認されて以降、感染確認が続いています。

1例目(11月30日):厚生労働省「新型コロナウイルス感染症(変異株)の無症状病原体保有者について(空港検疫)」

2例目~:厚生労働省報道発表資料2021年12月

厚生労働省報道発表資料2022年1月
厚生労働省報道発表資料2022年2月

2021年12月22日に国内初の市中感染例が大阪府内で確認されました。

大阪府:新型コロナウイルス感染症(変異株)患者等の発生について

厚生労働省:新型コロナウイルス感染症(変異株)の患者の発生について

オミクロン株の免疫への影響

これまでに確認されている変異株と比較し、最も多くの変異が確認されており、基準株と比較してスパイクタンパク質に30 か所のアミノ酸置換を有しています(1)。その中にはこれまでに感染力や免疫逃避に関わっているとされていたアミノ酸置換も含まれていることから、ワクチン効果への影響、再感染リスクの増加への懸念が指摘されています(5~7)。
英国では、オミクロン株の再感染リスクはデルタ株に比較し5.4倍高く、特にワクチン非接種者で高かった(ワクチン接種者5.0倍、ワクチン非接種者6.4倍)と報告されています(8)。

オミクロン株の感染・伝播性への影響

オミクロン株はデルタ株に比較し感染やワクチン接種により獲得した免疫機能を回避しやすい特徴を有すること、および感染力が増加(ACE2受容体への結合効率の増加、上気道におけるウイルス増殖効率の増加)していることから、デルタ株を含む従来の株に比較し感染拡大しやすい特徴を有しています(9)。オミクロン株感染者では無症状病原体保有者の割合が増加している傾向があることから、感染者を探知しづらくなっていることもオミクロン株が感染拡大しやすい要因の一つである可能性が指摘されています(8)。

オミクロン株の重症化への影響

従来の株に比較しオミクロン株が、肺よりも上気道において増殖する傾向があることから重症化リスクが低くなっている可能性が示されています(8)。

オミクロン株の現状評価

デルタ株に比較し入院リスクの低下が示唆されていますが、デルタ株に比較し感染拡大しやすい特徴を有し、大阪府を含む国内で非常に多くのオミクロン株感染者が報告されていることから、引き続き医療負荷の増大、重症例の増加が懸念される状況です。

予防について

個人の基本的な感染予防策としては、変異株であっても、従来と同様に、3密の回避、特に会話時のマスクの着用、手洗いなどの徹底が推奨されます。

参考情報

(1) 国立感染症研究所、SARS-CoV-2 の変異株 B.1.1.529 系統(オミクロン株)について(第2報)2021年11月28日

(2)WHO, Classification of Omicron(B.1.1.529): SARS-CoV-2Variant of Concern, 26 November 2021

(3)ECDC, Implications of the emergence and spread of the SARS-CoV-2 B.1.1. 529 variant of concern (Omicron) for the EU/EEA, 26 November 2021

(4)WHO, COVID-19 Weekly Epidemiological Update Edition 77, published 01 February 2022

(5)USCDC, Science Brief: Omicron (B.1.1.529) Variant Updated Dec. 2, 2021

(6)ECDC, Threat Assessment Brief: Implications of the further emergence and spread of the SARS CoV 2 B.1.1.529 variant of concern (Omicron) for the EU/EEA first update

(7)UK Health Security Agency, Risk assessment for SARS-CoV-2 variant: Omicron VOC-21NOV-01 (B.1.1.529): 3 December 2021

(8)WHO, COVID-19 Weekly Epidemiological Update Edition 76, published 25 January 2022

(9)ECDC, Assessment of the further spread and potential impact of the SARS-CoV-2 Omicron variant of concern in the EU/EEA, 19th update

お問い合わせ

公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326