農産物の安全を守るために ~残留農薬検査と自動化の取組~
掲載日:2026年5月11日
以前、当HPでも紹介しましたが、当所では農産物、畜水産物の残留農薬検査を実施しています。これらの検査は、食品の安全性を確認するために重要な役割を担っています。
残留農薬検査について(残留農薬検査法の紹介)|大阪健康安全基盤研究所
検査は、以下の流れで行われます。
1.食品を細かくする(粉砕) → 2.農薬成分を取り出す(抽出)
→ 3.不要な成分を取り除く(精製) → 4.機器で測定する(機器分析)
このうち、抽出工程では、アセトンやアセトニトリルなどの有機溶媒を用いますが、農薬だけではなく、食品に含まれる色素や脂質などのさまざまな成分も一緒に溶け出します。これらの成分が残ったままでは、分析機器を汚したり、測定結果に誤りを生じさせる要因となります。そこで、抽出液中の不要な食品成分を取り除くために、「精製」という工程を行います。
精製は、正確な検査結果を得るために非常に重要な工程です。一般的に「固相カラム」が用いられています。固相カラムとは、特定の化学物質を吸着する性質を持つ材料(シリカゲルや活性炭など)を詰めた筒状の器具です。このカラムに抽出液を注入すると、色や脂質などの成分が固相カラムに吸着されて取り除かれます。一方で、農薬はこれらの食品成分とは性質が異なるため、固相カラムに吸着されず、そのまま通り抜けます。
実際の検査では、性質の異なる複数種類の固相カラムと有機溶媒を用い、
A.洗浄(コンディショニング) → B.抽出液を注入 → C.農薬成分の溶出
という工程を決められた条件で行う必要があります(図1)。
洗浄では、固相カラムに含まれる汚れを取り除くとともに、状態を整えて正しく機能するようにします。その後、抽出液を一定の速さで流し、不要な食品成分を固相に吸着させます。最後に、固相カラムに残った農薬成分を回収するために、種類や量の異なる有機溶媒を使い分けて溶出を行います。
このように精製工程は、操作条件を正確に守る必要があり、手作業では時間と手間がかかるうえ、操作ミスや結果のばらつきが生じる可能性がありました。
そこで当所では、農産物中の残留農薬検査において、自動精製装置(図2)を導入しました。これにより、これまで手作業で行っていた複雑な精製工程が自動化され、作業時間の短縮と作業のばらつきが少なくなり、より安定した検査ができるようになりました。
今回ご紹介した装置は、残留農薬検査だけではなく、動物用医薬品やカビ毒などの様々な検査や調査研究における前処理にも活用することができます。今後も本装置を活用し、多様な検査や調査研究に取り組むとともに、正確で信頼性の高い検査を通じて食品の安全性確保に努めていきます。
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