食品中の脂質─種類・分析法・食品表示のしくみ─
掲載日:2026年9月25日
脂質は、たんぱく質や炭水化物と並ぶ三大栄養素の一つです。1gあたり約9kcalのエネルギーを生み出すため、私たちの体を動かす大切なエネルギー源になります。また、細胞膜やホルモンの材料となるほか、脂溶性ビタミンの吸収を助けるなど、私たちの健康維持に欠かせない働きを担っています。
脂質は食用油や肉、乳製品だけでなく、ポテトチップスや唐揚げ、チョコレート、ナッツ類など、私たちが普段よく食べる食品にも多く含まれています。食品によって含まれる脂質の種類や特徴は異なります。
この記事では、食品に含まれる脂質の種類や分析方法について紹介します。
食品に含まれる脂質の種類
食品中の脂質の大部分を占めるのが、中性脂肪(トリグリセリド)です。中性脂肪はグリセリンと脂肪酸から構成され(図1)、植物油や動物性脂肪の主成分として広く存在しています。また、中性脂肪に加え、細胞膜の主要成分であるリン脂質や、動物性食品に多く含まれるコレステロールも代表的な脂質です(図2)。
さらに、脂質を構成する脂肪酸は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、多価不飽和脂肪酸などに分類されます。このうちでも、ヒトの体の中では合成できない必須脂肪酸(n-3系脂肪酸、n-6系脂肪酸)はバランスよく食品から摂取することが推奨されています。(図3)。このように、食品にはさまざまな種類の脂質が含まれており、それらが食品の風味や食感、栄養特性に影響を与えています。

食品表示における脂質と脂肪酸

食品表示法では、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物および食塩相当量の表示が義務付けられています。脂質については、より詳細な情報を表示することもできますが、「飽和脂肪酸」「n-3系脂肪酸」「n-6系脂肪酸」などを表示するためには、それぞれの脂肪酸を分析する必要があります。
これらの情報は、消費者が自分の健康状態や食生活に合わせて食品を選ぶための大切な判断材料となります。
食品表示法では、エネルギー、たんぱく質、脂質、炭水化物および食塩相当量の表示が義務付けられています。脂質については、より詳細な情報を表示することもできますが、「飽和脂肪酸」「n-3系脂肪酸」「n-6系脂肪酸」などを表示するためには、それぞれの脂肪酸を分析する必要があります。
これらの情報は、消費者が自分の健康状態や食生活に合わせて食品を選ぶための大切な判断材料となります。
「低脂肪」などの表示はどう決まる?
スーパーなどで「脂肪ゼロ」や「低脂肪」と表示された商品を見かけることがあります。
このような表示を行うためには、食品表示法で定められた基準を満たさなければなりません。例えば、脂質に関する主な基準は次のとおりです。
表1_適切な摂取ができる旨の表示の基準値(脂質)
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強調表示 |
表現例 |
基準値食品100g当たり (清涼飲料水等にあっては100mL当たり) |
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含まない旨 |
脂肪0、脂質ゼロ |
0.5g(0.5g)未満 |
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低い旨 |
低脂肪 |
3g(1.5g)以下 |
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低減された旨 |
脂質〇%オフ |
低減された量が3g(1.5g)以上、かつ比較対象から低減された割合が25%以上である場合 |
(参考:食品表示基準別表第13)
これらの表示は、推定値ではなく、食品表示法で定められた分析方法によって得られた結果に基づいて表示する必要があります。
脂質の分析法
食品中の脂質量は、どのように調べているのでしょうか。
おおまかな流れは次の通りです。

食品に含まれる脂質を、油をよく溶かす液体(有機溶媒)を用いて取り出し、その重さを測定して脂質量を求めます。
しかし、食品によって脂質の存在形態は大きく異なります。
例えば、以下のような違いがあります。
- 牛乳では脂肪球として分散
- マヨネーズでは乳化状態で存在
- クッキーではでんぷんやたんぱく質と複雑に結合
- 肉製品では組織内に保持
このため、すべての食品に同じ分析方法を使えるわけではありません。適切な方法を選ばないと脂質を十分に取り出せず、実際より低い値となる可能性があります。食品表示法では食品の種類や特徴に応じて複数の脂質分析法が定められており、目的に合わせて使い分けられています(表2)。こうした正確な分析は、栄養成分表示の信頼性を支えるだけでなく、品質管理や新商品の開発にも役立っています。
表2_脂質分析法の比較
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分析方法 |
測定原理 |
主な対象食品 |
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ゲルベル法 |
硫酸でタンパク質を分解して脂肪を遊離させ、遠心分離後に脂肪層容積を直接測定する |
牛乳、乳製品 |
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エーテル抽出法 |
試料を乾燥させた後、ソックスレー抽出器を用いて脂質を抽出する |
穀類、豆類、乾燥食品など |
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クロロホルム・メタノール混液抽出法 |
クロロホルムとメタノールの混液で極性脂質・中性脂質を同時に抽出する |
大豆及び大豆製品(みそ類、納豆類は除く。)、卵類 |
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酸分解法 |
酸により組織を分解し、脂質の抽出効率を高める |
加工食品、穀類、いも及びでんぷん類、脂質含量の少ない種実類、豆類など |
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レーゼゴットリーブ法 |
アンモニアでタンパク質を溶解させた後、脂質を抽出する |
粉乳、乳飲料、練乳など |
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酸・アンモニア分解法 |
酸分解法とレーゼゴットリーブ法を組み合わせた方法。アンモニア処理の後、酸分解を行う |
チーズ類 |
|
ヘキサン-イソプロパノール法 |
ヘキサンとイソプロパノールの混液で脂質を抽出する |
卵、卵製品 |
さいごに
私たちが普段目にしている栄養成分表示は、単なる数字の一覧のように見えますが、さまざまな分析技術によって支えられています。脂質には多くの種類があり、食品によって存在形態も異なるため、正確に測定するには適切な分析方法を選ぶことが重要です。これらの分析のおかげで、消費者は栄養成分情報を参考にしながら食品を選ぶことができます。
参考資料
- 消費者庁「食品表示基準について」別添栄養成分等の分析方法等(平成27年3月30日消食表発第139号)
- 文部科学省日本食品標準成分表2020年版(八訂)
- 大阪健康安全基盤研究所HP「栄養成分表示の活用」https://www.iph.osaka.jp/s010/20210302130405.html
- 大阪府HP「加工食品の表示」
https://www.pref.osaka.lg.jp/o100110/shokuhin/prcessed_food/nutritional_value.html
お問い合わせ
電話番号:06-6972-1110


