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大阪健康安全基盤研究所

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<論文紹介>食品中の保存料の分析法を開発しました~固相抽出法による食品中の保存料分析~

掲載日:2025年12月25日

大安研では、行政からの依頼に基づいて様々な検査を実施しており、その一つとして、食品の収去検査を実施しています(関連記事1)。食品安全課では、検査の一つとして、大阪府内に流通する加工食品を対象に、食品添加物の検査を行っています。食品添加物とは、食品の製造過程または食品の加工・保存の目的で使用されるもので、保存料、酸化防止剤、着色料、甘味料、発色剤などがあります(関連記事2、3)。当所では、検査の体制整備のため、検査法の開発に取り組んでいます。今回、保存料分析法の論文が、日本食品化学学会誌に掲載されましたので、紹介します[1]。

 

【関連記事1】食品の収去検査について~理化学検査~

https://www.iph.osaka.jp/s011/20211012155654.html

【関連記事2】おうち時間に食品添加物への理解を深めよう

https://www.iph.osaka.jp/s010/030/020/010/20211014190213.html

【関連記事3】保存料について正しく知ろう!

https://www.iph.osaka.jp/s010/030/020/010/20190918103733.html

 

検査を実施している保存料の種類は、国内で使用が許可され、高極性の酸性化合物である安息香酸、ソルビン酸、デヒドロ酢酸と、無極性化合物であるパラベン類(パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸イソプロピル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸イソブチル、パラオキシ安息香酸ブチル)の8種類で、極性が大きく異なるため、同時分析が困難とされています[2, 3]。

厚生労働省より通知されている試験法は食品中の保存料を水蒸気蒸留法により抽出精製した後、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により定量します[3]。水蒸気蒸留法は、高温の水蒸気を発生させ、食品中の保存料を蒸気と共に蒸発させ、それを冷却して液化させることで分離・精製します。水蒸気蒸留法は、大型の装置(図)を使用し、一回あたり1時間程度かかり、一度に多数の試験品を処理できないという問題点があります。また、高タンパク質および高脂肪食品の場合、パラベン類の回収率が低いとの報告があります[4]。

そこで、食品中の保存料をメタノール溶液で抽出し、逆相-強陰イオン交換ミックスモードポリマーカラムで固相精製した後、HPLCで分析する試験法を開発しました。固相精製法に用いる装置(図)は小型で、精製にかかる時間は2時間以内ですが、多数の試験品を同時に処理できるため、迅速に検査が実施できます。また今回、固相精製法を採用することで、高タンパク質および高脂肪食品にも適用が可能となりました。

Fig.1_Steam_distillation_method.jpegFig.2_SPE_method.jpeg
図水蒸気蒸留法(左)と固相精製法(右)の装置比較

検査に用いる試験法は、「妥当性確認」を行い、試験法を評価することが必要となります[5]。当所の妥当性確認については、関連記事4にてご紹介しています。本法を用いて、妥当性確認を行なったところ、厚生労働省によるガイドラインで規定する回収率70~120%の範囲内でありRSD(併行精度<10%、室内精度<15%)共に良好でした[1]。本法は検査に適用可能と考えられます。

当所では今後も大阪府内に流通する加工食品を対象とした保存料の検査業務を実施し、大阪府内の衛生行政に貢献していきたいと思います。

 

【関連記事4】 試験法の妥当性評価への取り組み

https://www.iph.osaka.jp/s017/070/2023年03月20日240510131448.html

 

  1. 参考文献

[1]野村千枝、柿本 葉、山口瑞香、藤原拓也、徳永佑亮、山崎朋美、新矢将尚:溶媒抽出-固相精製およびHPLCによる食品中の保存料8種類の分析法の検討、日食化誌, 31(2)54-64(2024)

[2]厚生労働省消費者庁,“第9版食品添加物公定書”2018, p.1035-1056.

[3]「食品中の食品添加物分析法」の改正について別添3:令和3年6月24日、薬生食基発0624第1号 薬生食監発0624第1号

[4]山崎朋美 他:大阪健康安全基盤研究所年報、3、69-74(2019)

[5]厚生労働省健康・生活衛生局食品基準審査課長及び食品監視安全課長通知 “ 「食品中の食品添加物分析法の妥当性確認ガイドライン」の作成及び「第2版食品中の食品添加物分析法」の改正について”令和6年3月8日、健生食基発0308第1号・健生食監発0308第1号(2024)


お問い合わせ

衛生化学部 食品安全課
電話番号:06-6972-1110