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大阪健康安全基盤研究所

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危険ドラッグは過去のもの?

掲載日:2022年5月2日

みなさんは2010年代前半に大きな社会問題となった『危険ドラッグ』を覚えているでしょうか。薬物乱用者による自動車事故が契機となり、かつて連日のように報道されていた薬物問題は、いま、どうなっているのでしょうか?

危険ドラッグとは?

『危険ドラッグ』とは、規制薬物に化学構造を似せて作られ、これらと同様の作用(興奮、抑制、幻覚など)を有する物品を指します。また、規制薬物を含有しない物品であると言いながら、実際には規制薬物を含有する物品も該当します。『危険ドラッグ』が大きな社会問題となった背景には、製品に含まれている薬物が法規制の対象外で取り締まりが難しかったこと、それを利用して多数の製品が堂々と販売されていたことがあります。目を引くカラフルなパッケージが繁華街の店頭に並んでいたこともありました。(図1)

図1)危険ドラッグ製品パッケージとその内容物の例

規制強化でどうなった?

こういった製品を取り締まり、新たな薬物の流通を防ぐために指定薬物制度[1]が導入されました。大阪府でも条例が制定され、知事指定薬物として独自の薬物規制を実施することができるようになっています。さらに国による規制強化や税関での水際対策などが進められた結果、危険ドラッグを販売する大阪府内の店舗はゼロ[2]となりました。また大阪府下での危険ドラッグ使用によると思われる健康被害事例も減少し[3]、条例制定から10年を経て一定の成果が出ているといえます。

『危険ドラッグ』の問題は解決した?

国内で危険ドラッグの流通が減少する一方で、海外では年間数十種類以上[4]の新たな危険ドラッグが出現しており、引き続き監視が必要です。また実店舗が存在しなくなったことで薬物情報や製品の取引はネット掲示板やSNSを通じたものが主流となり、実態を把握することがより難しくなっています。このように薬物問題は決して消えてなくなっているわけではありません。薬物乱用は自分の健康を損なうだけでなく、周囲への迷惑や犯罪に繋がることもあります。決して手を出さないように心がけましょう。

図2)薬物中毒者の絵

おわりに

大阪健康安全基盤研究所では危険ドラッグ製品の分析検査・新規薬物の調査研究を実施しています。さらに、大阪府と協力し、科学的見地から薬物乱用問題の解決に向けて取り組んでいます。
もしご自身やご家族が薬物に関する悩みをお持ちでしたら、決してひとりで抱え込まずに、専用の相談窓口[5]への連絡や専門医療機関[6]を受診するようにしてください。
図3)研究者の絵


お問い合わせ

衛生化学部 医薬品課
電話番号:06-6972-1362