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大阪健康安全基盤研究所

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<論文紹介>酸化染毛剤で設定される染毛試験について

掲載日:2026年7月16日

ヘアカラーリング剤のうち、酸化染毛剤については、一部の製品で染毛試験が製造販売承認書に設定されています。本記事では、ヘアカラーリング剤の分類と、酸化染毛剤による染毛のメカニズム、染毛試験の手順についてご紹介します。また、「■資材の一時供給停止への対応」の項では、染毛試験に使用する資材(白布、動物毛束)別に染色性を比較した結果の一部を紹介します。なお本記事の内容は、日本香粧品学会誌に掲載された論文[8]から一部抜粋したものです(この記事は専門家を対象に執筆しています)。

■ヘアカラーリング剤の分類
ヘアカラーリング剤は、染毛剤(医薬部外品)と染毛料(化粧品)に分類され、染毛剤はさらに酸化染毛剤、非酸化染毛剤、脱色剤・脱染剤に分類されます(表1)[1]。中でも酸化染毛剤は、染色性と堅ろう性に優れており、最も広く使用されています[2]。一方、酸化染毛剤を含む医薬部外品は、化粧品とは異なり、製造販売に際して品質や有効性、安全性を確保するため、都道府県知事または厚生労働大臣の承認を受ける必要があります[3]。

表1. ヘアカラーリング剤の分類
ヘアカラーリング剤の分類


■酸化染毛剤による染毛のメカニズム
酸化染毛剤は一般的に第1剤と第2剤から構成され、使用直前に混合して染毛を行います。多くの場合、第1剤に「(レゾルシンやアミノフェノール類などの)酸化染料」と「(アンモニア水などの)アルカリ剤」を含む水溶液、第2剤に「(過酸化水素水などの)酸化剤」を含む水溶液を用います。第1剤と第2剤を混合すると、アルカリ剤と酸化剤の反応により活性酸素が発生します。この混合物を毛髪に塗布すると、アルカリ剤による毛髪の膨潤、活性酸素によるメラニン色素の分解、活性酸素により重合した酸化染料による発色が毛髪内で同時に起こり染色されます(図1)[4]。

酸化染毛剤の染毛の仕組み
図1. 酸化染毛剤の染毛の仕組み

■染毛試験の手順
酸化染毛剤には、染色効果を評価するため、1~3のステップからなる染毛試験が設定されています。試験の手順は下記1~3の通りです(図2)。
 
1 酸化染料を含む第1剤と、酸化剤を含む第2剤を混合します。
2 混合物を試験用資材へ塗布もしくは浸漬します。
3 一定時間経過後、水洗・乾燥し、染色効果を判定します。
 
試験用資材には、日本規格協会から販売されている羊毛製の白布(JIS L 0803 準拠 染色堅ろう度試験用添付白布 単一繊維布 毛 呼び番号1-1)が染毛剤製造販売承認申請要領で例示されています[5]。
染毛試験の手順
図2. 染毛試験の手順

■資材の一時供給停止への対応
上記の羊毛製白布は、染毛試験の試験用資材として広く使用されてきましたが、2021年に一時的に供給が停止されました。この事態に対処するため、厚生労働省から事務連絡が発出され[6]、他の資材でも染毛試験が実施可能となりました。しかしながら、木綿布を用いた際に染色不十分となった事例[7]など、資材により色調が異なるケースが報告されています。大阪健康安全基盤研究所では,羊毛製白布の代替資材を探すことを目的に、JIS L 0803準拠 染色堅ろう度試験用添付白布 単一繊維布 6種(毛(羊毛)、絹、ナイロン等)とヘアカラー剤評価用動物毛束2種を用いて実際に染毛試験を行い、製品表示の色ごとに染色性を比較しました(図3)。その結果、ナイロン製の白布では明度が高い傾向がみられ、ヤギやヤクの白色毛束では毛束の内側まで完全に染色することが困難であったものの、 羊毛製の白布と近い色相で染色されました[8]。なお現在は羊毛製白布の供給が再開されていますが、ナイロン製の白布やヤギ・ヤクの白色毛束も、羊毛製白布の代替資材として有用と考えられます。
各資材の染色結果
図3. 各資材の染色結果

■参考文献
[1]  日本ヘアカラー工業会「ヘアカラーリング製品の分類(詳細)」(2026年7月10日確認)
[2]  今井健仁, 丹羽正直, 長谷川拓也, 川村秀登, 梅村知也, 木村勝, 中野隆, 原口紘炁:キューティクル層における酸化染毛剤の反応性. 日本化粧品技術者会誌, 42: 305-312, 2008.
[3]  平成6年6月2日付厚生省告示第194号「都道府県知事の承認に係る医薬部外品」
[4]  日本パーマネントウェーブ液工業組合:酸化染毛剤の染毛の仕組み. ベーシックケミカル改訂版, 新美容出版, 東京, 2018, pp. 80-81.
[5]  日本ヘアカラー工業会:染毛剤製造販売承認申請要領(第七版), 2016.
[6]  令和3年3月10日付厚生労働省医薬・生活衛生局医薬品審査管理課事務連絡「染毛剤の染毛試験に使用する白布の供給停止への対応について」
[7]  大貫奈穂美,森謙一郎,中村義昭,横山敏郎, 江波戸擧秀,寺島潔,菊地洋子, 藤井孝:医薬部外品製造・輸入承認申請に関する審査の現状と問題点. 東京衛研年報, 51: 48-52, 2000.
[8]  中村暁彦, 武田章弘, 川口正美, 土井崇広, 田上貴臣:染毛試験に使用するJIS白布(毛)の代替資材の調査. 日本香粧品学会誌, 48: 78-81, 2024.

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衛生化学部 医薬品課
電話番号:06-6972-1362