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大阪健康安全基盤研究所

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建築物衛生法における飲料水質について

掲載日:2018年10月23日 更新

建築物衛生法は「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」の通称で、この法律は多数の者が使用し、または利用する建築物の維持管理に関し、環境衛生上必要な事項等を定めることにより、その建築物における衛生的な環境の確保を図り、もつて公衆衛生の向上および増進に資することを目的としています(建築物衛生法第1条)。
この法律の適用を受ける建築物を特定建築物といい、以下にあげる規模のものが政令で定められています。

1. 興行場、百貨店、集会場、図書館、博物館、美術館または遊技場 延床面積3000m2以上
2. 店舗または事務所 延床面積3000m2以上
3. 学校教育法第1条に規定する学校以外の学校 延床面積3000m2以上
4. 旅館 延床面積3000m2以上
5. 学校教育法第1条に規定する学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学及び高等専門学校)で、床面積8000m2以上のもの

さて、「建築物環境衛生管理基準」では、空気環境の調整、給・排水の管理、清掃、防鼠・防虫等、環境衛生上良好な状態を維持するのに、多くの必要な措置が定められています。その中で当課に関連する「給水の管理建築物衛生法における水質検査」について紹介します。
特定建築物内に飲料水を供給する場合は、水道法の水質基準に適合した水を供給するように定められており(建築物衛生法施行令第2条)、その水源は水道水と地下水等(自己水源)に分けられます。今回は、これらの大半をしめる水道水について述べます。

建築物に供給される水道水は水質基準に適合していることが前提ですが、それが供給元において保証されるのは建築物の給配水設備に入るまでです。それ以降については各自で水質管理を行う必要があり、それに伴い水質検査も行わなければなりません。水道法における水質基準は51項目ありますが、その中には建築物内で新たな汚濁の懸念のない物質もあり、検査を行う必要のない項目もあります。建築物衛生法に基づく検査項目および測定頻度を表1に示します。

表1.建築物衛生法に基づく検査項目(水源として水道水を利用している場合)
表1.建築物衛生法に基づく検査項目(水源として水道水を利用している場合)

さて、これらの水質検査はどのような機関で実施されているのでしょうか?
前述の建築物における種々の維持管理を行う事業者は、一定の物的、人的要件を満たしている場合、都道府県知事の登録を受けることができます。それらの登録業には8種類あり、そのうちの一つである建築物飲料水水質検査業者によって検査が行われています。

では、その検査精度はどのようにして保たれているのでしょうか?
一般的に、検査機関がその検査精度を客観的に把握するためには、外部精度管理に参加するという方法があります。外部精度管理とは、各検査機関の技術の確認や精度の向上を図る目的で実施されます。複数の検査機関が同一の試料を検査し、その結果が解析・評価されることで、各機関の分析技術等の改善につながります。
水道水質検査を実施する水道法第20条第3項(注2)の規程に基づく登録機関は、信頼性確保の観点から外部精度管理に参加することとされています(水道法施行規則第15条の4)。しかし、建築物飲料水水質検査業については、厚生労働省が実施する外部精度管理調査の対象機関に含まれていません。また、外部精度管理への参加は登録要件にも明記されていません。
そこで大阪府では、府内建築物飲料水水質検査業者の検査精度を把握し、より一層の信頼性の確保・向上を図り、ひいては安全な飲料水の供給に資することを目的に、平成19年度より外部精度管理を3年間実施しました。その結果、検査精度の確保を図るために、定期的な外部精度管理の実施が必要である、と結論づけましたが、事業の継続には至っていませんでした。

しかし、平成27年度より建築物衛生管理業者等で構成される(一般社団法人)大阪ビルメンテナンス協会からの委託事業として、あらたに「大阪府建築物飲料水水質検査業における外部精度管理」を開始しました。実施後、参加機関へは結果通知書とともに、是正すべき項目について詳細に記載した文書を送付しています。今後、問題がみられた機関に対しては、指導・研修等も実施する予定です。当該外部精度管理を継続して実施することにより、各機関の検査に対する意識の改善および府内全体の検査レベルの向上に繋がるものと考えています。なお、精度管理参加機関は大阪府のホームページ(注1)に掲載されています。

お問い合わせ

衛生化学部 生活環境課
電話番号:06-6972-1353