加湿器のレジオネラに注意しましょう
掲載日:2018年11月22日
レジオネラ症が増加しています
高齢者や乳幼児に肺炎などを引き起こすレジオネラ症の患者報告数が増えています。2017年の患者数は1700例を超え、現在の集計方法が始まった1999年以降最多となりました。2009年頃から年々増加し、2017年は10年前の2.5倍超となっています。
レジオネラ患者届出件数1)
レジオネラ症は、環境中に広く生息するレジオネラ属菌(以下、レジオネラ)をエアロゾル(水の微粒子)と共に肺に取り込むことにより起こる呼吸器感染症です2)。ヒトからヒトへの感染はありません。レジオネラは、土壌、河川などの自然環境に生息していますが、その菌数は多くありません。問題となるのは、人工的に造られた水環境で、循環式浴槽、冷却塔、噴水、加湿器などです。日本国内でこれまでに起きた集団感染事例では、主に公衆浴場や旅館などの浴槽水が原因でした。浴槽水以外では、加湿器を原因とするレジオネラ感染が起きています。
レジオネラ属菌の電子顕微鏡像
加湿器を原因とするレジオネラ感染
2018年1月、大分県の高齢者施設において、加湿器が原因で80~90代の男性3名がレジオネラに感染し、うち1名が死亡しました。加湿器のタンク内でレジオネラが増殖し、空気中に広がり感染したとみられています。
加湿器からのレジオネラ感染経路
加湿器は、タンク内の水を水蒸気にする方法によって方式が分けられます。水を加熱して蒸気にするスチーム式、風を当てることで水を蒸発させる気化式、超音波で水を水蒸気にする超音波式、加熱した水を気化や超音波で水蒸気にするハイブリッド式などがあります。レジオネラは60℃では5分で死滅するので、タンク内の水が加熱されるスチーム式やハイブリッド式の加湿器は、レジオネラ汚染のリスクが低いとされています。加湿器を使用する際には、タンクの内部を洗浄し、常に清潔な状態にしておくことが重要です。
加湿器からの蒸気
また、2011年に韓国において加湿器用除菌剤による健康被害が発生しています。この事例では、PHMG (polyhexamethylene guanidine) またはPGH (oligo(2-(2-ethoxy) ethoxyethyl guanidinium chloride) を主成分とする除菌剤を加湿器内の水に入れて使用したため、肺損傷が引き起こされ多数の死者が出ました。このため、厚生労働省は除菌剤や化学薬品を加湿器に使用しないようにと情報提供しています3)。
加湿器を安全に使用するために
これからの季節、インフルエンザや風邪予防によく使われる加湿器。家庭内での使用でも、清潔に保たなければ、レジオネラ感染が起きてしまう可能性があります。以下の点に注意して、安全に使用しましょう。
- タンクの水は毎日新しい水道水に交換し、水のつぎ足しはしない。
- 汚れやぬめりが生じないように、タンク内をこまめに洗浄しましょう。
- 使用後はタンク内の水を抜き、よく乾燥させましょう。
引用文献
- 国立感染症研究所 感染症発生発生動向調査週報データより作成 https://www.niid.go.jp/niid/ja/idwr.html
- 第4版レジオネラ症防止指針 公益財団法人日本建築衛生管理教育センター
- 厚生労働省 韓国の加湿器用除菌剤の回収についての情報提供Https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001z31f-att/2r9852000001z44g.pdf
レジオネラに関する情報は、以下をご覧ください。
- 厚生労働省 レジオネラ症Q&A
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_00393.html - 厚生労働省 レジオネラ症を予防するために必要な措置に関する技術上の指針 (平成 30 年8月3日厚生労働省告示第 297 号により一部改正)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/rezionerashishin.pdf
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