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大阪健康安全基盤研究所

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清涼飲料水の規格基準について

掲載日:2017年1月31日

スーパーマーケットやコンビニエンスストアの店頭では、さまざまな清涼飲料水が販売されています。私たちにとって身近な清涼飲料水の品質はどのように確保されているのでしょうか?

清涼飲料水は、法令で「乳酸菌飲料、乳及び乳製品を除く酒精分1容量パーセント未満を含有する飲料」と定義されており、簡単に言えば「アルコール分1%以上のアルコール飲料や牛乳、乳酸菌飲料以外の飲み物」となります。摂取時に希釈、融解等により飲み物として摂取することを目的としたものも含まれます(ただし、粉末清涼飲料を除きます)。例えば、ミネラルウォーター、果実ジュース、野菜ジュース、炭酸飲料、豆乳、濃縮ジュース、凍結ジュース等が該当します。

清涼飲料水の規格基準は、食品衛生法に基づく「食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)」という法令で定められています(注1)。この規格基準は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止するために、販売用の食品について製造等の基準または成分規格を定めたものです。清涼飲料水の規格基準は、国際的な食品規格および日本国内の水道法との整合性を図るため、平成26年に全面的に改正されました(注2、3)。新しい規格基準では、清涼飲料水を「ミネラルウォーター類(水のみを原料とする清涼飲料水)」と「ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水」の2つに分け、さらに製造方法や原料等の製品の特性に応じて分類しています(図1)。原則として、この分類ごとに4つの規格基準(成分規格、製造基準、保存基準、調理基準)が定められています。

成分規格

製品の成分に関する規格が定められており、全ての清涼飲料水に適用される一般規格と、製品の特性に応じた分類ごとに定められる個別規格があります。一般規格には、混濁したものであってはならない、沈殿物または固形の異物のあるものであってはならない、大腸菌群陰性であることが定められています。ただし、原材料に由来するもので人の健康を損なうおそれがない場合には、混濁、沈殿物または固形物の含有が認められており、例えばみかんの粒入りジュース等が販売されています。また、金属容器入りのもの(例えば、缶ジュース)に限って、缶から溶出するスズの規格値が定められています。個別規格については、「ミネラルウォーター類」は殺菌および除菌の有無、二酸化炭素の圧力値等の分類ごとに、金属類、化学物質、性状および微生物に関する規格値が定められています。一方、「ミネラルウォーター類以外の清涼飲料水」にはヒ素および鉛の規格値が定められており、さらにカビ毒で汚染されやすいりんごの搾汁および搾汁された果汁のみを原料とするものについては、カビ毒であるパツリンの規格値が設けられています。なお、平成26年の改正前にはカドミウムの規格値も定められていましたが、調査の結果これらの清涼飲料水を通じたカドミウム摂取が非常に限られていることが判明したため、削除されました。

製造基準

製造に使用する水や製造方法についての基準が定められています。成分規格と同様に、全ての清涼飲料水に適用する一般基準と、製品の分類ごとに定められる個別基準があります。一般基準には、製造に使用する器具および容器包装に関する衛生管理の方法が定められています。「ミネラルウォーター類」の個別基準には、製品の特性に応じた分類ごとに、原水または原料として用いる水の衛生管理の方法、微生物の規格値、殺菌および除菌方法、記録方法等が定められています。「冷凍果実飲料」には原料用果実の品質、加工方法、殺菌および除菌の方法、記録方法等が、「原料用果汁」には使用する果実の品質および加工方法が定められています。「ミネラルウォーター類、冷凍果実飲料および原料用果汁以外の清涼飲料水」の個別基準には、原料として用いる水の品質、製造に使用する原料の品質、殺菌および除菌の方法、記録方法等が定められています。

保存基準

製品の分類ごとに、使用する容器包装や保存温度が定められています。

調理基準

コップ販売式自動販売機および清涼飲料水全自動調理機(運搬器具または容器包装に充填された原液を用いて自動的に清涼飲料水の調理を行う器具、例えばファストフード店に設置されているドリンクディスペンサー)により調理される清涼飲料水についての基準が設けられています。調理に用いる清涼飲料水の原液および水の品質、衛生管理の方法、保存温度等が定められています。

清涼飲料水の規格基準は製品の特性に応じて定められており、複雑に細分化されています。今回は全てをご紹介できませんでしたので、詳細については厚生労働省のホームページでご確認ください。

図1. 清涼飲料水の分類
図1. 清涼飲料水の分類

(食品化学課)

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