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大阪健康安全基盤研究所

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おうち時間に食品添加物への理解を深めよう

掲載日:2021年10月14日

新型コロナウイルス感染症の蔓延にともない、外食に制限がかかったため、家で食事する機会が増加しました。当法人へも、食の安全、とりわけ食品添加物に関する問い合わせが増加しています。当法人のホームページでは、これまで食品添加物にかかる記事がいくつか掲載されていますが、食品添加物に対する理解を深めていただくために、問い合わせの多かった内容について解説します。

食品添加物とは

食品添加物は、食品衛生法で「食品の製造の過程において又は食品の加工若しくは保存の目的で、食品に添加、混和、浸潤その他の方法によって使用するもの」と定義されています。具体的には図に示す目的で使用され、表に示す4種類に分類されています。
図改_食添使用目的

図 食品添加物の使用目的

表 食品添加物の分類(令和3年1月15日現在)
指定添加物
472品目
安全性を評価した上で、厚生労働大臣が指定した添加物
既存添加物
357品目
わが国において長年使用されてきた天然添加物
天然香料
612品目
食品に香りをつけるために用いる、動植物から得られる
天然の物質
一般飲食物
添加物
106品目
果汁など、一般に飲食に供されているもので添加物として
使用されるもの

食品衛生法により、厚生労働大臣が指定した添加物(指定添加物)以外は、製造、輸入、使用、販売等が禁止されています。かつては添加物の指定制度は化学合成品に限られていましたが、1995年の食品衛生法改正により、指定の対象が天然物を含む全ての添加物に拡大されました。「食品添加物=化学合成品」というイメージは今なお残っているようですが、現在の指定添加物には合成や天然の区別がなく、すべて安全性が評価されています。このため、2020年7月の食品表示基準の改正では、「合成」「人工」の用語が削除されました。

 一方、1995年の改正時に、わが国において広く使用され長い食経験があるものは、既存添加物として例外的に使用、販売等が認められました。既存添加物は当初489品目ありましたが、安全性の評価や使用実態を考慮することにより、段階的に品目数は減少しています。

発色剤が混入している?

(関連記事へのリンク:豚肉ミンチをきちんと加熱したのに生焼けのようなピンク色だったことはありませんか?

発色剤とは、食品中に存在する不安定な色素(有色物質)と結合して、その色素を安定に保つためのもので、主にハムやソーセージなどの食肉製品に使用されます。代表的な発色剤は亜硝酸塩(亜硝酸ナトリウム)です。

おうち時間にハンバーグを作る家庭が増えたようで、「ハンバーグをいくら焼いても中がピンク色のままになり、食べても大丈夫か」という問い合わせが何件もありました。これは、具材であるタマネギなどの野菜に含まれる硝酸塩が、冷蔵庫で寝かせている間に亜硝酸塩に還元され、その状態で焼いたため非意図的に発色したケースと思われます。ハンバーグのタネが腐敗しておらず、しっかり加熱されており、食品衛生上問題がなければ、食べても大丈夫です。このような発色を避けるためには、具材をこねたら直ちに焼くか、硝酸塩は水溶性なので野菜をよく洗って水切りしてから使用すると、発色が抑えられるでしょう。

保存料は万能か?

(関連記事へのリンク:保存料について正しく知ろう!

保存料とは、細菌やカビ等の微生物の増殖を抑えて食品を長く保つためのものです。殺菌料と違って微生物を死滅させるものではありませんので、腐敗の心配が全くないわけではありませんが、食中毒リスクの低減に役立っています。代表的な保存料には、ソルビン酸や安息香酸が挙げられます。植物は動物や微生物から自身を守るために様々な化学物質を生産しますが、保存料はそのような天然成分から発見されたものが多く、ソルビン酸はナナカマドの未熟果実の油脂成分から、安息香酸はエゴノキの樹脂成分から発見されました。現在はどちらも化学合成品が使用されています。

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、外食産業ではテイクアウトの形態が増えました。それで、「弁当や惣菜の日保ちをよくするために保存料を混ぜたらよいと思うが、何をどれくらい混ぜたらよいか」といった問い合わせが何件かありました。しかし、保存料はどんな食品にも適用できるわけではありません。対象とする食品によって、使用できる種類と使用量(上限)が細かく規定されており、使用基準を遵守することが必要となります。

甘味料は危ないか?

(関連記事へのリンク:甘味料で糖質オフ? ~甘味料のメリットとデメリット~

甘味料とは、食品に甘味をつけるためのものです。ショ糖(砂糖)は理想的な甘味物質で、重要なカロリー源でもありますが、サトウキビやテンサイなど原料植物の栽培は地域的に限定されていることや、高価なことなどから、代替品としての甘味料が開発されてきました。

甘味料は、エネルギーになる糖質系甘味料と、エネルギーにならない非糖質系甘味料に分けられますが、後者は砂糖の数百~数万倍も甘い「高甘味度甘味料」とも呼ばれます。高甘味度甘味料には化学合成品が多く、過去にはズルチンの中毒事故や発がん性が問題になって指定取り消しになったことから、近年よく食品に使用されているアセスルファムカリウムやスクラロースなどについても、「問題があるのではないか」といった問い合わせが多くありました。

しかし、高甘味度甘味料はわずかな量で十分な甘味が得られます。食品の安全性は、人が毎日一生涯にわたって摂取しても健康に悪影響がないと判断される量である「一日摂取許容量(ADI)」で評価されます。アセスルファムカリウムのADIは15mg/kg体重/日なので、体重60kgの人の場合は一日あたり0.9g(900mg)まで許容されますが、これと同等の甘味を得るためには、アセスルファムカリウムは砂糖の200倍甘いことから、砂糖を毎日180g摂取することに相当します。WHOが推奨する砂糖の一日摂取量は25gですので、これだけたくさんの砂糖を摂取するとすれば、肥満や糖尿病のリスクが高まることが容易に想像できます。適度な甘味を、甘味料から得る場合の安全性に、問題ないことがお分かりいただけるかと思います。

おわりに

かつての指定添加物は化学合成品に限られており、健康被害により指定が取り消されたものもあったことから、「化学合成品=体に悪い」というイメージが残っているのかもしれません。しかし、現在では合成品・天然物を問わず、一律に安全性が確かめられた添加物のみが指定されています。

食品添加物として認められている物質を、認められている使用条件で使う場合は安全なのです。問題となるのは、どんな物質でも摂取する量であって、食品添加物そのものが問題ではありません。

大阪健康安全基盤研究所では、引き続き、食品添加物の行政検査を実施するとともに、食の安全にかかる適正な情報の発信を進めてまいります。

お問い合わせ

衛生化学部 食品化学1課
電話番号:06-6972-1325