コンテンツにジャンプメニューにジャンプ
大阪健康安全基盤研究所

トップページ > 感染症 > 肺炎球菌ワクチンが変わります -高齢者の定期接種(2026年4月から)-

肺炎球菌ワクチンが変わります -高齢者の定期接種(2026年4月から)-

令和8年 (2026年) 4月から、高齢者の肺炎球菌ワクチンの定期接種が変更されます。これまで定期接種として用いられてきた莢膜多糖体ワクチン (PPSV23)に代わり、結合型ワクチンであるPCV20が使用されます。これにより、これまで5年ごとに接種が必要だったものが、1回の接種で予防効果が得られるようになります。

肺炎球菌は、ヒトの口腔内や気道に常在している細菌です。免疫力が低下した高齢者や乳幼児では、肺炎、髄膜炎、中耳炎などの感染症の原因となることがあります。治療は抗菌薬の投与によって行われますが、髄膜炎を発症した場合には後遺症が残ることもあるため、できるだけ早い段階で治療を開始することが重要です。

近年、抗菌薬が効きにくいペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)などの薬剤耐性菌が世界的に増加しています。そのため、ワクチンによる予防の重要性が高まっています。日本では、小児と65歳以上の高齢者を対象に肺炎球菌ワクチンが定期接種として実施されています。

肺炎球菌_図1

ワクチンの種類について 

肺炎球菌には、その表面構造の違いによって97種類以上の型(血清型)があることが知られています。現在のワクチンは、その中でも病気を起こしやすい血清型に対して予防効果が得られるように作られています。肺炎球菌ワクチンには大きく分けて、「結合型ワクチン」と「莢膜多糖体ワクチン」の2種類があります。
肺炎球菌_図2

結合型ワクチン 

結合型ワクチンは、肺炎球菌の表面にある物質(莢膜多糖体)に免疫の働きを助けるたんぱく質(キャリア蛋白)を結合させたワクチンです。主に免疫機能が未成熟な乳幼児を対象として開発されました。このたんぱく質を結合させることで、体が菌を認識しやすくなり、より強い免疫反応が引き起こされ、乳幼児でも十分な予防効果が得られるようになっています。海外では2000年頃から導入が進み、重篤な肺炎球菌感染症が大きく減少するなど、高い予防効果と安全性が確認されています。流行状況などに応じて改良が進められ、現在では

7種類 (PCV7、2010年国内販売開始)

13種類 (PCV13、2013年)

15種類 (PCV15、2023年)

20種類 (PCV20、2024年)

と、より多くの血清型を予防できるワクチンが開発されています。

莢膜多糖体ワクチン

 莢膜多糖体ワクチンは、肺炎球菌の莢膜多糖体をターゲットとしたワクチンで、23種類の血清型に対応しています(PPSV23)。このワクチンは、乳幼児では十分な免疫を得ることが難しいため、2歳以上の免疫不全者や高齢者を主な対象として使用されてきました。国内では1988年に導入され、高齢者の肺炎に対する予防効果が国内の研究でも報告されています。また、インフルエンザウイルス感染に合併する肺炎の予防効果もあるとされています。 

ワクチンの接種について

 ワクチン接種_図3 

高齢者(65歳以上)

 令和8年 (2026年) 4月から、定期接種のワクチンは莢膜多糖体ワクチンから結合型ワクチンであるPCV20へ変更されます。これにより、これまで必要であった5年ごとの再接種が不要となり、1回の接種で予防効果が期待できるようになります。

小児

 小児では、結合型ワクチンの定期接種を受けることができます。生後2ヶ月頃から1歳までの間に3回接種し、その後、3回目の接種から60日以上あけて追加接種を行います。

(その他のワクチンも含めた小児の接種スケジュールは引用文献2をご参照ください)

肺炎球菌ワクチンの定期接種の詳細は自治体によって制度が異なる場合がありますので、最寄りの保健所へお問合わせください。また、任意接種については、かかりつけの医療機関でご相談ください。

おわりに

ワクチンの普及により、小児では髄膜炎や菌血症など重症な肺炎球菌感染症が減少し、高齢者でも肺炎の発症が減少したことが報告されています。一方で、小児を中心にワクチンで予防できない血清型の肺炎球菌の増加も指摘されています。今後も効果的な予防対策を進めるために、流行状況の継続的な調査と評価が重要です。当研究所でも国内の流行状況を把握するために、厚生労働省の感染症流行予測調査事業に参画しています。

 

引用文献

  1. Maruyama T, et al. Efficacy of 23-valent pneumococcal vaccine in preventing pneumonia and improving survival in nursing home residents: double blind, randomised and placebo controlled trial. BMJ. 2010;340:c1004.
  2. 日本の予防接種スケジュール(国立感染症研究所)

お問い合わせ

微生物部 細菌課
電話番号:06-6972-1368