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大阪健康安全基盤研究所

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系統樹の株名を エクセル上 で操作する – OIPH-PhyNE –

掲載日:2021年12月14日

OIPH-PhyNEをダウンロードする(100 KB)(zip形式)

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医学・生物学の分野では、アミノ酸と塩基の置換速度が近似的に一定であることに基づき、ゲノム配列などの分子データを用いた系統樹解析が行われます。系統樹を描くためのソフトウェアはいくつか知られていますが、よく用いられているものの一つにMEGA (Molecular Evolutionary Genetics Analysis) があります。MEGAに限らず、系統樹のもととなるデータをソフトウェアに入力するにあたっては、いくつか制限があります。例えば、株名 (サンプル名) には半角アルファベットといくつかの記号しか使用できません。また、MEGAではアンダーバーがスペースに置き換えられてしまうようです。この株名に、入力データでは使用できない日本語や記号などを挿入したい場合は、系統樹として出力後に株名を編集する必要があります。その際、フォント(色や太字の設定等)も一緒に変更可能です。これらの編集作業は細々とした地道なものとなりますが、一通り編集作業を実施したのちに系統樹作成に使用する元データや設定(配列の領域、サンプル数、アラインメント法、置換モデル等)が変更になると、系統樹を描き直して編集作業も一からやり直さなければならないため、大きな時間と労力(とやる気)を繰り返し費やすことになってしまいます。なんとか最小限の時間と手間で同様の編集作業を終わらせたい、さらに株名編集の幅を広げられたらなお良い、と考えて作ったのがOIPH-PhyNE (オーアイピーエイチ ファイン) です1OIPH-PhyNEでは株名の文字列、背景色、フォント (色、太字、斜体) を容易に編集することが可能です(図1

1OIPH は「Osaka Institute of Public Health (大阪健康安全基盤研究所)」の略称、PhyNE は「Phylogram Name Editor」の略語。

slide1

 

使用に際して

OIPH-PhyNEは、マクロを搭載したエクセルファイルです(拡張子.xlsm)。ファイルを開いた際には、まずマクロを有効にしてください。どなたでもご自由にお使いいただけますが、すべて自己責任でご使用ください。万一データ破損等の損害が発生しても責任は負いかねます。Windows10ならびにMicrosoft Office 2016の環境にて動作することは確認済みです。それ以外のOSならびにMicrosoft Officeのバージョンを用いた詳細な検証は行っておりませんが、一部のMac OSでもOIPH-PhyNEが動作したという声は戴いております。また、MEGA以外では、NJplotで出力された系統樹もOIPH-PhyNEで編集できることが確認できています。

 

MEGAについて

MEGAはフリーソフトで、MEGAのサイトからダウンロードできます。本稿では、Older Versions (Previous Versions of MEGA) のページから7.0 (GUI for Windows) を入手して使用しています。MEGAで出力される系統樹は、Microsoft OfficePowerPointなどに貼り付けてグループ解除を行うと文字列やフォントなどが編集できるようになりますが、より新しいMEGAのバージョン (MEGA-X以降) で描いた系統樹をそのように編集すると、分岐点 (節またはノードとも呼びます) に隙間が生じてしまうようでした(図2。その隙間が系統樹としての信頼性になんら影響することはありませんが、「見栄え」という点で少々気になるため、ここではMEGA7を使用します。

slide2

使用法

OIPH-PhyNEの使用法は、以下の動画(YouTube)にてご説明いたします。動画はさくさくと進んでいきますので、お手数をお掛けしますが、時間をかけて内容を確認したい場面は適宜戻っていただく、あるいは一時停止をしていただくなどしてご覧ください。

  1. 大まかな使い方(動画にて使用している系統樹には、論文で公表済みの元データを使用しています)

https://youtu.be/-BHp5OaOjCg

  1. いくつかのボタンの説明

https://youtu.be/HF45v-uyu38

  1. ホモロジーに応じた色分けの一例

https://youtu.be/u3CoE-306SI

 

最後に

系統樹の株名を目的に応じて編集するだけで、見た人の理解度を飛躍的に高めることができます。系統樹解析を日頃から行っている研究者の方々がよりスムーズに系統樹から何かを見出すことに、少しでもOIPH-PhyNEが貢献できれば大変嬉しく思います。

お問い合わせ

微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1401