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大阪健康安全基盤研究所

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家の中に潜むダニ・・・花粉症?いえ、ダニが原因かも

掲載日:(2022年5月13日)

ダニにも色々ありまして

チリダニ 走査電顕.jpg


近年、野外活動時に刺されて問題となる「マダニ」や「ダニ媒介感染症」がクローズアップされるようになってきました。感染症で問題となるマダニは、幼虫でも肉眼で見ることができるほどの大きさです。しかし、その他の種類のダニは多くが体長1mm以下で、肉眼ではほとんど見ることができません。

ダニは昆虫ではなくクモに近い仲間です。ダニの仲間は全世界で4万種類以上いることがわかっており、熱帯から南極・北極まで広く分布しています。土壌中、水中、植物や動物につくだけでなく、家の中、貯蔵食品の中、さらにはヒトの顔や皮膚など、様々な環境に応じてそれぞれ異なる種が適応して棲み分けています。

ここでは、家の中に住んでいる小さなダニたちについてご紹介します。


家にいるダニ

室内に生息するダニ類は、主にコナダニ、チリダニ、ツメダニです。

コナダニ

成虫の体長は0.3~0.5mm。このダニがエサにしているのは、かつお節、小麦粉、パン粉、そうめんなどの乾燥食品、ビスケット、チョコレートなどの菓子類、七味などの香辛料、味噌などの貯蔵食品、畳など非常に多岐にわたっています。発生場所は台所まわりや畳の部屋などが中心になります。

チリダニ(ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ)

コナヒョウヒダニ.jpg


成虫の体長は0.2~0.4mm。家の中にいるダニの大半はチリダニと言われるくらい身近なダニです。エサとなるのはヒトのアカやフケ、食品のくず(たべこぼし)、カビ、昆虫の死骸などです。家の中では畳やじゅうたん、寝具類が発生場所となりますが、小麦粉などで増える場合もあります。ヒトや動物を直接刺すことはありません。ダニの虫体やフンがアレルギー疾患(アレルギー性鼻炎、喘息など)の原因になることがあります。

ツメダニ

成虫の体長は0.70.8mm。チリダニなど他のダニ類(や小さな虫)をエサにしています。そのため、チリダニが沢山増殖すると、ツメダニも増えてきます。ヒトを積極的に刺して吸血することはありませんが、たまたま接触した際にヒトの皮膚を刺す場合があります。刺された瞬間は痛みやかゆみを感じませんが、数時間たってから発疹やかゆみが生じます。

何が問題となるの?

室内塵.jpg

通常コナダニやチリダニは、家の中に生息しており、少々いてもそれほど問題になりません。問題となるのは大量発生した場合や、ダニが増えてアレルギーを引き起こしてしまった場合、また、ツメダニまで増えて住人が刺されるようになってしまった場合です。
家の中のチリやホコリのうち1mm以下の小さなものをハウスダストと呼びますが、これにはダニの死骸やフン、カビ、細菌、花粉、繊維クズ、アカや皮膚、ペットなどの毛が含まれます。ハウスダストに対するアレルギーの大半はダニやその死骸、フンによるもので、気管支喘息やアトピー性皮膚炎を引き起こす原因にもなるため、家の中でダニを増やさないことが重要です。
花粉の時期を過ぎてもアレルギー症状がある場合は、ハウスダスト(ダニ)アレルギーの可能性があります。

他に、封を開けたお好み焼き粉などを室温で保存していると、保存中に粉の中でダニが大量に繁殖し、それを知らずに作ったお好み焼きなどでアナフィラキシー(全身性のアレルギー症状で生命に危機を与える過敏反応)を起こす場合があります。これは、「パンケーキシンドローム」と呼ばれ、国内外で症例が報告されています。

ダニを増やさないために

布団掃除.jpg

コナダニやツメダニは梅雨前から活発になり、6~9月は一番の繁殖時期と考えられます。チリダニはほぼ1年中活動します。ダニは高温多湿な環境を好み、10℃以下や湿度50%以下ではあまり繁殖しません。マンションなどの高気密性住宅はダニが増えやすい環境ですので、定期的に換気をして湿気をためすぎないようにしましょう。一般的にダニは熱に弱く、50℃以上の熱に20分以上あてると死滅するといわれます。天日干しではそこまで熱くならないので、ダニ退治までは期待できないものの、ダニ予防には有効とされています。

布団干し.jpg

布団やぬいぐるみなどはダニやその死骸・フンなどがついているので、晴れた日は天日干しをおすすめします。冬物布団を出したときなども保管中にダニが増えている場合があるので同様に注意が必要です。ダニ処理には布団乾燥機も有効です。天日干しや乾燥後の布団には死骸やフンなどが残っているので、掃除機をかけて吸い取るとよいでしょう。ダニを増やさないためには、普段からの掃除機がけが重要です。畳やカーペットなどダニが潜みやすいところは「1平方メートルあたり20秒」を目安に、ゆっくり丁寧に掃除機をかけるとよいとされています。また、古くなった食品や、開封済みの小麦粉、お好み焼き粉、たこ焼き粉などはダニの発生源になる場合があるので、密閉容器を使用し、冷蔵や冷凍保存をおすすめします。




一口メモ

刺されてかゆい!のは「イエダニ」が原因かも

イエダニという名前ですが、普段家の中で見かけるダニではありません。
ネズミやトリなどに寄生して吸血します。屋根裏にネズミが入り込んでいたり、軒先やベランダでトリが巣を作っていたりすると、イエダニが大量に増え、家の中に侵入する場合があります。

成虫の体長は0.61mmで吸血すると1mm以上になるため、肉眼で見える場合もあります。ヒトが吸血されると激しいかゆみや炎症を起こすことがあるので、気になる場合は皮膚科を受診しましょう。

身の回りに気になる虫がいる場合は、セロハンテープなどで捕まえ、保健所や保健センター、皮膚科などに相談しましょう。

お問い合わせ

微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1401