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大阪健康安全基盤研究所

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平成17年度 大阪市立環境科学研究所報告「調査・研究年報」(要旨)

調査・研究年報

報文

水産加工品中でのListeria monocytogenesの消長 (中村寛海ほか)

水産加工品中での4および30℃におけるL. monocytogenes(LM)の消長を調べた。その結果、スモークサーモン中では30℃においてLMの増殖が認められ、4℃ではLMの増殖が認められたものの菌株によって増殖の程度に差が見られた。スモークサーモン中でLMの増殖を抑制させるための食品添加物としては、プロタミンよりもソルビン酸および安息香酸が適していると考えられた。

2005年に大阪市内の食中毒原因調査において検出された下痢原性微生物と主な事件の概要 (長谷篤ほか)

2005年に大阪市内で食中毒が疑われた168事件中76件(45.2%)で下痢原性微生物が検出された。ノロウイルスが検出されたものが51件(67.1%)、キャンピロバクター9件(11.9%)、サルモネラ6件(7.9%)、ウェルシュ菌4件(5.3%)、黄色ブドウ球菌2件(2.6%)、セレウス菌1件(1.3%)、腸炎ビブリオ1件(1.3%)、病原大腸菌1件(1.3%)、サルモネラ/キャンピロバクター同時検出が1件(1.3%)あった。また、患者数190名のサルモネラ・エンテリティディス集団食中毒が発生した。

zinc naphthenateのラットにおける催奇形性試験 (清水充ほか)

木材などの防腐剤として用いられているzinc naphthenate(ZnN)についてラットを用いた催奇形性試験を実施した。その結果、ZnNはラットにおいて催奇形性が認められなかった。さらに、ZnNに関して妊娠ラットに対するNOAELは62.5 mg/kg/dayであり、ラット胎児に対するNOAELは250mg/kg/dayと推定された。

医薬品の温度安定性について(5) ドリンク剤に含まれるタウリンの温度苛酷試験 (尾崎麻子ほか)

ドリンク剤7試料の室温保存試験(25℃で1及び2ヵ月遮光保存)及び温度苛酷試験(50℃で1及び2ヵ月遮光保存)を行い、有効成分であるタウリンの含有量変化をHPLC-FLで測定し、外観の変化を観察したところ、苛酷試験後にタウリン含有量の減少及び薬液の色の変化が認められた。

液体クロマトグラフ-質量分析計を用いた直鎖アルキルベンゼンスルホン酸類の分析 (山本敦史)

液体クロマトグラフ-タンデム質量分析計を用いて直鎖アルキルベンゼンスルホン酸類の分析を行った。河川中の濃度は 0.0012-46 mg/L であった。下水処理場を経ていない廃水が流入することで濃度が 4 桁以上変化した。同族体組成の変動は、夏季において大きかった。同族体組成と濃度の間には明確な関係は見られなかった。

海面埋立廃棄物処分場地下保有水水質の経年変化と安定化指標 (西尾孝之ほか)

埋立完了後の廃棄物処分場管理に役立てるため、北港処分地北地区地下保有水の有機および窒素成分の経年変化を調べ、海面埋立廃棄物処分場に特有の溶出類型を検討した。埋立完了後,塩素イオンは降雨により希釈されてほぼ一様に減衰した。有機物および窒素濃度は、廃棄物埋立層で徐々に可溶化されるので埋立完了後一旦上昇するが、生物学的過程の進行が遅いために直ちには減少しなかった。

大阪市域における自然起源の土壌中重金属量と溶出特性 (加田平賢史ほか)

本研究では、自然起源の重金属の土壌汚染対策法に準拠した溶出量と含有量を把握した。その結果、含有量は基準値に比べて低いレベルにあるといえるが、溶出量は基準値を超過する場合が見られた。鉛とヒ素の溶出量は、溶出液のpHが影響していた。さらに溶出量の増減には、風乾による酸化の影響があることが示唆された。

路面標示用塗料剥離片に含まれる金属成分の分析 (船坂邦弘ほか)

路面標示塗料成分が、自動車交通に伴い、道路堆積粉じんを介して市内の大気浮遊粉じんへと寄与している可能性について言及した。白線塗料はTiおよびAlが特徴的である一方、黄線塗料はPb、Crの含有量が高かった。黄線塗料については表層土壌・道路堆積物へ混入する可能性もあるが、その使用が限局的であることからさらなる検証が必要と思われた。

お問い合わせ

公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326