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大阪健康安全基盤研究所

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平成15年度 大阪市立環境科学研究所報告「調査・研究年報」(要旨)

調査・研究報告

 

2003年に大阪市内の食中毒原因調査において検出された下痢原性微生物と主な事件の概要 (長谷篤)

 

2003年に大阪市内で食中毒が疑われた204事例中78件(38.2%)で下痢原性微生物が検出された。ノロウイルスが検出されたものが41件(52.6%)、サルモネラ16件(20.5%)、キャンピロバクター12件(15.4%)、腸炎ビブリオ2件、黄色ブドウ球菌・セレウス菌同時検出、ノロウイルス・黄色ブドウ球菌同時検出が各1件であった。

 

無菌性髄膜炎を呈したインフルエンザ患者から2種類のインフルエンザウイルス(AH3型とB型)とエコーウイルス9型を分離した1例について (村上司ほか)

 

インフルエンザと診断され無菌性髄膜炎をきたした患者の鼻腔ぬぐい液から、AH3型インフルエンザウイルス(AH3)とエコーウイルス9型が分離された。発症から約10日後に症状が再燃し、再び髄液からAH3が分離された。患者は強い頭痛と嘔吐症状を呈し、髄液細胞数が945/3に達した。その後、発症から約30日後に再度AH3が、さらに約50日後にはB型インフルエンザウイルスが分離された。患者は免疫系に異常は見られなかった。

 

LC/MS/MSを用いた農産物中の農薬一斉分析法 (山口之彦ほか)

 

45農薬について農産物からの一斉分析法を検討した。農薬はタンデム型質量分析計を備えた高速液体クロマトグラフを用いて定量を行った。27農薬について0.025あるいは0.25mg/g添加した5種の農産物について50%以上の回収率が得られた。この方法では、27農薬についてスクリーニング分析が可能であった。

 

海面埋立処分場におけるダイオキシン類の挙動 (藤原康博ほか)

 

海面埋立処分場である大阪市北港処分地南地区(夢洲)の浸出水および処分地近傍地点の海水中ダイオキシン類濃度を調査し、実態を把握した。同族体パターンについて水質と底質で比較を行い、浸出水および海水中ダイオキシン類濃度と水質一般項目との相関について解析した。

 

廃棄物焼却施設における排ガス中ダイオキシン類測定の簡易迅速化に関する動向と課題 (高倉晃人ほか)

 

公定法に基づくダイオキシン類の分析には長時間、高コストを要する。本報告においては近年、国内外において数多く行なわれている排ガス中ダイオキシン類の簡易かつ迅速な測定法の研究動向と課題についてまとめた。また、それらの一つの手法として筆者らが行なってきた大気圧ヘリウムプラズマ原子発光分析法による半・中揮発性有機ハロゲン化合物を用いた研究を紹介した。

 

廃タイヤ表面に含まれる金属成分の分析 (船坂邦弘ほか)

 

大気浮遊粉じんのうち、幹線道路沿道の粗大粒子に特徴的なZnとPbがタイヤ摩耗により発じんしているのか、あるいは他の発生源の影響を複合的に受けているのかを調べるため、廃タイヤ表面に含まれる金属含有量を測定し、Zn/Pbなどから考察するとともに、現行タイヤ試料の発生源データとして資することを目的とした。

 

各種建築材料のホルムアルデヒドの吸着性状について (宮崎竹二)

 

建築材料によるホルムアルデヒドの吸着性状が、スモールチャンバーにおけるそれらの濃度減衰を測定することにより試験された。ウール製カーペットによるホルムアルデヒドの吸着速度は3.21~4.01 m/hであり、アクリル製カーペット(0.52~1.13 m/h)より大きかった。またホルムアルデヒドの吸着速度は、ウール製カーペットについてはNO2やSO2の吸着速度より大きかったが、アクリル製カーペットについては小さかった。

 

抗菌剤zinc bis(2-pyridylthio-1-oxide)のラットにおける催奇形性試験 (清水充ほか)

 

zinc bis(2-pyridylthio-1-oxide)(ZPT)は化粧品や船底塗料などの抗菌剤として使用されている。本試験ではZPTの安全性再評価のために、ラットを用いてZPTの器官形成期投与による催奇形性試験を実施した。その結果、本実験条件下において、妊娠動物に対する無毒性量(NOAEL)は2.7 mg/kg、胎児に対するNOAELも2.7 mg/kgと推定された。

 

家庭用品に使用される化学物質の皮膚感作性試験(8) アミン系老化防止剤octylated diphenylamineおよびstyrenated diphenylamineのモルモットおよびマウスにおける皮膚感作性 (清水充ほか)

 

octylated diphenylamine(ODPA)およびstyrenated diphenylamine(SDPA)はいずれも天然ゴムや合成ゴムのアミン系老化防止剤として使用されている。一方、ODPAおよびSDPAと類似のアミン系老化防止剤にはヒトおよびモルモットで皮膚感作性を有するものがあることが報告されている。そこで、ODPAおよびSDPAについてモルモットマキシミゼーション法およびマウスリンパ節増殖法による皮膚感作性試験を実施した。その結果、ODPAおよびSDPAはいずれもモルモットおよびマウスにおいて皮膚感作性を有することが確認された。

 

大阪市内で分離されたヒトおよび鶏由来Salmonella Infantisの薬剤感受性 (中村寛海ほか)

 

大阪市内で分離されたヒト由来21株および鶏由来44株、計65株のSalmonella Infantisについて薬剤感受性を調べた。その結果、ヒト由来株と鶏由来株は異なる薬剤耐性パターンを示す傾向が認められた。

 

大阪市に望ましい水辺環境の構築に関する基礎的研究(第1報) (新矢将尚ほか)

 

大阪市内河川のうち、比較的河川環境が整備されている今川において、生物相および水質の調査を行った。その結果、地域固有の望ましい水辺環境の構築には、河川構造、水質双方の改善および外来種対策が必要であると考えられた。

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公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326