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大阪健康安全基盤研究所

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かわら版@iph 27号 2005年11月29日発行

配信された文面をもとに、一部修正を行っています。URLやメールアドレスは配信当時のものです。

目次

  • お知らせ
    「公開セミナー」のお知らせ
  • 大阪の感染症サーベイランス情報
    「11月の感染症」
  • 今月の話題
    「アイガモから検出された鳥インフルエンザウイルス」
  • 研究の窓から
    「化学物質による乗用車室内空気の汚染」
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お知らせ

「正しく知って安心!健康と生活の安全のために」公開セミナー開催のお知らせ

府民の方を対象とした「公開セミナー」を下記の通り開催致します。
詳しくはこちらhttp//www.iph.pref.osaka.jp/

セミナー参加については、下記要領にてお申込みください。
多くの方々のご参加をお待ち致しております。

公開セミナー開催

  • 場所:大阪府庁新別館北館4階 多目的ホール
  • 日時:平成17年12月7日(水曜日)午後2時から4時
  • プログラム:
    1. 「食中毒」-正しい知識で防ぎましょう-
    2. 「アスベスト」-曝露される機会と健康影響-
    3. 「健康食品」って?-健康の基本は「食事」「運動」そして「睡眠」-
  • 参加費:無料
  • 定員:100名
  • 参加申込方法:住所、氏名、年齢を明記し「公開セミナー参加希望」と書き添えて下記のいずれかの方法でお申込みください。
  • 宛先:大阪府立公衆衛生研究所 企画調整課 公開セミナー 係

参加申込方法

  • 電話による申し込み(午前9時から午後5時30分):06-6972-1321(内線297)
  • 電子メールによる申込み:seminar●iph.pref.osaka.jp(●は@に置き換えてください。)
  • ファクスによる申込み:06-6972-7625
  • 往復ハガキによる申込み:郵便番号 537-0025 大阪市東成区中道1-3-69

大阪の感染症サーベイランス情報

11月の感染症

第46週(11月14日から11月20日)の定点あたり報告数の上位3疾患は感染性胃腸炎(4.7)、A群溶連菌咽頭炎(1.4)、水痘(1.1)、でした(()内は定点あたり報告数)。感染性胃腸炎は前週比24%、A群溶連菌咽頭炎は26%、水痘は11%の増加でした。(病原微生物検出情報(外部サイトにリンクします) 参照)

感染性胃腸炎は例年冬季に増加する疾患で、ノロウイルスやロタウイルスなどがその原因となります。11月以降、府内では小学校などでのノロウイルス集団感染の報告も続いており注意が必要です。調理前、食前、トイレの後の手洗いの徹底とともに、患者の吐物、便の処理を確実に行い、感染の拡がりを防ぐことが大切です。

RSウイルス感染症は定点あたり0.8で第4位です。インフルエンザは14例と報告は少なくまだ流行は始まっていません。11月25日現在、大阪府内では今シーズンのインフルエンザウイルスの分離もまだされていません。

10、11月の大阪府内の病原体定点からの検体では、感染性胃腸炎患者からノロウイルスが2件、無菌性髄膜炎患者からエコー9型ウイルスが3件、咽頭結膜炎患者、肺炎患者からそれぞれアデノ3型ウイルスが1件分離されています。

(ウイルス課 宮川)

今月の話題

アイガモから検出された鳥インフルエンザウイルス

本年10月31日、大阪府は松原市内のアイガモとアヒルの飼育業者が育てている食用アイガモから、簡易検査でA型鳥インフルエンザウイルスの陽性反応が出たと発表しました。高病原性のウイルスか確認するため、その日のうちに動物衛生研究所に検体が送られました。翌日(11月1日)には病原性の弱いH4であることが判明し、結果を受けて、府はそれまで出していた養鶏農家等の移動自粛を解除しました。

以上が松原市で起きた鳥インフルエンザ事件の概要で、世界各地で発生しているH5N1による鳥インフルエンザの侵入を危惧したため、マスコミが大きく取り上げ、大阪府も迅速に対応しました。当研究所でも、アイガモと接触した職員から得られた検体を調べましたが、ウイルスは検出されませんでした。

鳥インフルエンザウイルスは、ウイルス表面にある赤血球凝集素(HA)というタンパク質の抗原性によりH1からH16の16種類に分けられます。鶏やアヒルなどの家禽類にとって致命的なのは高病原性鳥インフルエンザで、H5とH7という型に感染すると起こります。それ以外の型に感染しても家禽類は軽い症状を示すだけなので、低病原性鳥インフルエンザと呼ばれています。今回のH4は低病原性で、家禽類に感染しても被害は小さいということで移動自粛が解除されました。

インフルエンザウイルスの自然宿主はカモなどの渡り鳥で、彼らは感染しても発症せず、ウイルスの運び屋となっています。今回のアイガモは、H4のインフルエンザウイルスに感染した野鳥とどこかで接触して感染したのでしょう。人はこのようなアイガモと相当濃厚な接触をしないと感染しないでしょうし、感染しても発症することはまずないと考えられます。しかし、アイガモを食べる時にはよく熱を通した方が無難です。

(感染症部 奥野)

研究の窓から

化学物質による乗用車室内空気の汚染

室内空気中の化学物質がその発症原因の一つとされる「シックハウス症候群」や「化学物質過敏症」が近年社会的な問題となっています。厚生労働省では、室内において生活衛生上問題となる各揮発性有機化合物 (VOC) の濃度指針値 (一生涯その値以下の濃度に曝露されたとしても、有害な健康影響がないであろうと判断される濃度) の策定を進めています。現在までに、数多くのVOCの中でホルムアルデビトやトルエンなど13物質の室内濃度指針値が設定されました。また、これとは別に室内空気中VOCの総濃度 (T-VOC濃度) の目標値 (暫定値:400μg/m3) も設けられています。T-VOC濃度は各物質の毒性学的な知見に基づいたものではなく、室内空気の質の状態の目安として利用されます。各指針値やT-VOC目標値は、一般住宅のほか、学校、事務所、病院、図書館、体育館、映画館、車両など、化学物質を製造・使用する工場等の産業現場を除く大部分の室内に適用されます。このうち、住宅や学校についてはその汚染の実態がほぼ明らかになっていますが、それ以外の室内空気汚染状況は十分把握されていません。

私どもは、先ず車両について調べることにしました。乗用車の室内は現代のクルマ社会において、生活環境の一部として位置づけられます。新車購入直後や夏場の気温の高い時期、車室内の特異な臭いを経験された方は多いのではないでしょうか。しかし、その臭いの成分や濃度に関することは、これまでほとんど知られていません。私どもは、2004年5から10月、大阪府内の一般住民の協力を得て、普段使用されている自家用車を対象として、化学物質による乗用車室内の空気汚染の実態を調査しました。

調査対象車は、2001年から2004年の夏季 (6から9月) に新車として登録された全て異なる国産101車種です。室内空気の測定は、車内に持ち込んで使用している物品をあらかじめ全て車外に出し、窓、ドア、ベンチレーターを閉め、エンジンを停止した状態で行いました。その結果、室内空気中より合計275種の化学物質が検出され、その内242物質を全対象車について定量しました。塗料や接着剤等の溶剤がその発生源の一つと考えられる多種の脂肪族炭化水素類および芳香族炭化水素類のほか、ゴムやプラスチック製品が多用される車室内に特徴的な物質も高濃度で検出されました。指針値の設定されている化学物質の車室内濃度の中央値 (101台の測定値を濃度順に並べた際、51番目の値) は、いずれも指針値以下でした。一方、定量された242物質の合計濃度 (T-VOC濃度) の中央値は約600μg/m3 (最高値:約4000μg/m3) であり、厚生労働省目標値の1.5倍の濃度でした。対象車の80%におけるT-VOC濃度が、この目標値を超えていました。測定結果を統計学的に解析したところ、車室内空気汚染の差異には、車格や内装材等の仕様の違いが大きく関与し、また、日常の換気も長期的な車室内空気質に影響を及ぼすことが明らかになりました。さらに、過去に一台の乗用車について行った各化学物質の3年間の室内濃度推移の調査結果をもとに、対象車のうち芳香剤使用や車内喫煙のない50台について、各車の納車一ヶ月後における室内化学物質濃度を算出したところ、室内空気は厚生労働省T-VOC目標値の約5から6倍濃度の化学物質により汚染されていることが推定されました。

日本自動車工業会は、今年2月、2007年度以降新車発売される乗用車について室内空気中化学物質濃度の低減化に取り組むことを発表しました。しかし、その主対象は指針値のある13物質であり、T-VOCへの対応は考慮されていません。本調査結果より、現状の車室内においては空気中の全化学物質の濃度和にも着目しなければならないことが示唆されました。各自動車、内装部品、素材等の各メーカーにおける揮発性有機化合物濃度総量の低減化への取り組みが期待されます。

(生活衛生課 吉田俊明)


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お問い合わせ

公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326