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大阪健康安全基盤研究所

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かわら版@iph 18号 2005年2月28日発行

配信された文面をもとに、一部修正を行っています。URLやメールアドレスは配信当時のものです。

目次

  • 今月の話題
    「そろそろスギ・ヒノキ花粉の飛散が始まりますよー」
  • 研究の窓から
    「室内の空気、食事習慣、ストレスとアレルギー疾患との関連」
    「環境中の放射能の調査」
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今月の話題

「そろそろスギ・ヒノキ花粉の飛散が始まりますよー」

今年(2005年)はスギ・ヒノキ花粉症の人にとって非常につらい年になりそうです。スギ花粉の豊作の年に当たるうえ、スギ花粉の雄花の基が出来る去年の夏が猛暑だったため多量のスギ雄花ができており、スギ花粉の大量飛散が予想されるからです。そのため、スギ・ヒノキ花粉の飛散がマスコミで大きく取り上げられ、厚生労働省からも「花粉症に対する緊急対策の実施について」が各都道府県に出されたほどです。

花粉症になってしまうと、自然治癒することはないため、毎年花粉症の症状に悩まされることになります。それに対して、花粉症の予防対策と対処療法などのために、花粉情報が必要となります。花粉症の治療に関しては厚生労働省の『的確な花粉症の治療のために』(都道府県等担当者・医療従事者等向け(外部サイトにリンクします))に詳しい説明が載っていますのでご覧ください。また、まだ花粉症になっていない人も将来花粉症にならないために、花粉を吸わないように予防することが大切です。

このように花粉症対策には、花粉症になっている人もなっていない人も花粉症について正しい知識を身につけることが必要です。そのため、公衆衛生研究所では、公衆衛生研究所ホームページに、毎日の花粉飛散状況と花粉症対策のために必要な基本的な情報を載せておりますのでご覧ください。この寒波が終わったころからスギ花粉の飛散が始まると思われます。マスク・ゴーグル・帽子をすると格好悪いと思わないで、しっかり予防してください。

(ウイルス課 西村)

研究の窓から

室内の空気、食事習慣、ストレスとアレルギー疾患との関連

近年、子供たちに急増しているアレルギー疾患の原因を解明するため、大阪市立大学、福岡大学、国立成育医療センター、国立健康・栄養研究所と共同して、生活環境の要因とアレルギー疾患発症との関連を探る長期的な研究を進めています。大阪府内の妊婦約1000人を対象に妊娠中の食生活から、生まれた子供が3歳6ヶ月になるまで追跡する調査で、住居内の空気汚染や母親の食事習慣、ストレスなど総合的に調べています。

平成13年11月から平成15年3月にかけて、母子手帳を交付する際や病院で実施する両親教室などで参加を呼びかけました。同意した妊婦約1000人の自宅に(1)ホルムアルデヒドと二酸化窒素を24時間測定する捕集チューブ(2)寝具と居間の床のダニ抗原を測定するゴミ取り袋(3)喫煙習慣、ペット、アレルギーの既往など生活習慣と生活環境を知るための質問票(4)食事習慣の質問票(5)ストレス調査票を郵送し、回答の解析を進めています。

さらに、子供が生まれた母親には、生後4ヶ月の乳児の追跡調査を実施して、妊娠中の食事制限や出生児の身長・体重、子供の寝室と寝具のダニ抗原などを調べました。乳幼児の追跡調査は、現在、1歳6ヶ月と2歳6ヶ月で実施しており、2歳6ヶ月の調査では、本研究班が開発した世界標準の疫学的な診断基準を活用して乳幼児のアトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎について調べています。

乳幼児のアレルギー疾患は急増していますが、環境要因と発症との関連は十分に解明されていません。とりわけアトピー性皮膚炎は生後まもなく発症することから胎児期の環境要因が重要と考えられるため、今回の調査では、従来検討されなかった母親の妊娠前や妊娠初期の環境要因を重視したのが特徴です。

現在、母親のアレルギー既往と環境要因との間の関連について解析を進めていて、以下のことが明らかになりました:(1)18歳以降の喘息治療歴と現在の喫煙習慣、そして、過去1年間のアレルギー性鼻炎治療歴と家庭での受動喫煙は、共に正の関連(注1)を示すこと(2)現在の喫煙習慣とこれまでの喫煙習慣のいずれもが、アレルギーのマーカーである血清総IgE値と正の関連を示すことです。

今後、この調査を継続して、アレルギー疾患発症と環境要因との関連を解析することにより、妊婦の生活習慣を改善することで、子供の疾病発症を予防できる可能性が高まることが期待されます。

  • 注1 正の関連:例えば、家庭での受動喫煙の多いグループほど、アレルギー性鼻炎治療歴のある人の割合が高いことを意味します。

(生活衛生課 松永)

環境中の放射能の調査

私たちの身の回りには、地殻中に存在する天然のウランや宇宙からやってくる宇宙線などの天然の放射能や、核実験等によって大気中に放出されたものなど人間の活動によって造り出された人工の放射能など様々な放射能が存在します。

当所では、1960年から国の委託で、これらの環境中の放射能がどれくらい存在するかについて知るために、雨水・大気・土壌・水道水・農産物・牛乳などの中の放射能の調査を継続して行っています。

環境中の放射能は、1960年代には、各国の大気圏内核実験の影響で全体的に高いレベルでした。しかし、大気圏内核実験が終息したのに伴い、そのレベルは急激に低下しました。なお、1986年にはチェルノブイリ原子力発電所爆発事故の影響を受けて一時的にレベルが上昇しましたが、その後再び低下し、現在では非常に低いレベルで推移しています。

また、大阪府では、1989年度以降、一部の水道原水からヨウ素131という放射性物質が、時折、ごく微量(1リットル中に0.1mBq前後)検出されています。これは、医療施設での治療や検査に用いられたヨウ素131を含んだ放射性医薬品に由来するものと推定されます。ただし、このヨウ素131のレベルは、放射能事故が起きたときの飲食物の摂取制限値(飲料水で1リットル中に300Bq以上)と比較すると、30万分の1にすぎず、私たちへの健康影響は心配ありません。

府内の環境中の放射能のレベルは、現在のところ特に問題となる点はありませんが、放射能事故や原子力施設等からの漏洩等の監視のためにも今後も環境中の放射能調査を継続していきます。

  • Bq:ベクレル、放射能の単位、1秒間に崩壊する原子の数
  • mBq:ミリベクレル:ベクレルの1000分の1

(環境水質課 肥塚)


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かわら版@iph編集部
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