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大阪健康安全基盤研究所

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かわら版@iph 15号 2004年11月30日発行

配信された文面をもとに、一部修正を行っています。URLやメールアドレスは配信当時のものです。

目次

  • 報告
    「公衆衛生研究所 公開セミナー」
  • 今月の話題
    「スギヒラタケと原因不明の急性脳炎」
  • 研究の窓から
    「生薬の残留農薬汚染実態調査」
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  • 15号に対するご意見はこちら

報告

「公衆衛生研究所 公開セミナー」にご参加いただきありがとうございました

11月10日に公開セミナーを開催したところ、多数ご参加いただきありがとうございました。日ごろの業務から得られた健康と生活の安全に役立つテーマとして、今回は「新型インフルエンザとは」「食品の安全性」「水道水の安全性」について講演会をいたしました。

参加いただいた方々のアンケートでは、「難しい・用語の解説が必要」などのご意見もありましたが、半数以上が「良かった」とお答えいただきました。今後も継続して開催するようにとのご意見もありました。また、会場に関して「声が聞こえにくい・雑音が多い」などの苦情もいただきました。

次回には、いただいたアンケートをもとにして、より役に立ち・わかりやすい公開セミナーにしていきたいと考えております。

今月の話題

「スギヒラタケと原因不明の急性脳症」

今年の9月以降、新潟県、山形県、秋田県等の東北地方を中心に、原因不明の急性の脳症患者が発生しています。当該患者の主要症状は、下肢の脱力、ふらつきに始まり、不随意運動の出現、痙攣、意識障害で、重篤な場合は死亡しています。

全国で当該患者の発生が59名、うち17名が死亡しています(11月18日現在)。

日本腎臓病学会の調査では、昨年以前にも同様の事例が2件発生していたことがわかっています。

国立感染症研究所、関係自治体等の疫学調査の結果では、(1)スギヒラタケを摂食していること、(2)中・高齢者に偏在していること、(3)腎機能低下を基礎疾患とし、何らかの原因により急性脳症を起こしたと考えられること等が明らかになっています。しかし、現時点では病因物質や発症メカニズムについては不明のままとなっています。

スギヒラタケ(Pleurocybella porrigens(Pers.:Fr.)Sing)は、従前より、味噌汁、和え物、酢の物として食膳に供されてきた、いわゆる食用キノコで、杉林の切り株、倒木などに群生します。笠は白色で扇型あるいはヘラ型、ほとんど無柄の小型のキノコです。

今年になって、なぜ急に当該患者が発生するようになったかは不明です。

腎機能低下が確認されていない人の発症例もみられたことから、厚生労働省は11月19日付けの通知で、健常人も含め安全性が確認されるまでの間、スギヒラタケの摂食を控えるよう注意喚起の呼びかけを行っています。

公衛研でも、大阪府緑整備室森林管理課や大阪府森林組合の協力を得て、高槻市や河内長野市の杉林にスギヒラタケの自生を確認しています。現在までのところ、大阪府内における当該患者発生の届出はありませんが、キノコ採取については十分な注意を払いましょう。

(細菌課 濱野)

研究の窓から

「生薬の残留農薬汚染実態調査」

生薬は、長期間にわたり連用される可能性が高いことから、安全性に関して特別の配慮が必要であると考えられます。しかし、生薬中に残留する農薬の実態に関しては、現在でもわからない部分が数多く残されており、1997年まで、我が国はもとより、諸外国においても分析法や残留基準が設定されていませんでした。我が国では、現在でもわずか2種類(BHC,DDT(注1,注2))の農薬が、2種類の生薬(ニンジン、センナ)について残留基準が定められているにすぎません。現在、全世界で約700種類の農薬が使用されており、我が国においては、食品では242種類の農薬について残留基準が設定されています。一方、国が重要とする医薬品を集めた公定書である日本薬局方には現在、120種類もの生薬が収載されています。さらに、最近では、基準値を超える残留農薬を含有している、合成抗菌剤を使用している等、輸入食品の安全性に対する信頼を損なわせるような調査結果が相次いで発表されています。生薬もその大部分が中国をはじめとする諸外国からの輸入品であるため、安全性に関して食品と同様のことが懸念されます。

このような状況の中、当所では1990年代はじめより、生薬および漢方エキス製剤中に残留する有機塩素系農薬について、分析法を開発し実態調査を行っています。その結果、1990年代当初は、数多くの生薬中からBHCが検出され、ニンジンから特に高い濃度のBHCが検出されたことなどを明らかにしてきました。また、ニンジンの有機塩素系農薬による汚染の実態を継続的に調査し、汚染レベルが経年的に低下してきていることなども確認してきました。しかし、現在の生薬が置かれている状況を考慮したとき、また、大阪府が我が国最大の生薬取引市場であることを考えたとき、今後、より多くの生薬を対象とし、より多くの農薬成分について実態調査を行わなければならないと考えています。

  • 注1 BHC:ベンゼンヘキサクロリド日本では毒性・残留性が強いことから1971年農薬として失効。日本薬局方の生薬残留基準は0.2ppm
  • 注2 DDT:ジクロロジフェニルトリクロロエタン日本では毒性・残留性が強いことから1971年農薬として失効。1981年特定化学物質に指定され全ての用途で製造・販売・使用が禁止された。

(薬事指導課 梶村)


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公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326