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大阪健康安全基盤研究所

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かわら版@iph 13号 2004年9月30日発行

配信された文面をもとに、一部修正を行っています。URLやメールアドレスは配信当時のものです。

目次

  • お知らせ
    大阪府立公衆衛生研究所「公開セミナー」
  • 今月の話題
    「大阪府ウエストナイル熱対応指針」
  • 研究の窓から
    「紫外線吸収剤及びその関連化合物による女性ホルモン様作用」
  • ここが知りたい一問一答、一般の方からの質問にお答えして
    「介護労働者の腰痛などに関する相談」
  • 質問・問合せはこちらまで
  • 講読の新規登録/停止はこちら
  • 13号に対するご意見はこちら

お知らせ

「正しく知って安心!健康と生活の安全のために」公開セミナー開催のお知らせ

府民の方を対象とした「公開セミナー」を開催致します。

  • 「新型インフルエンザとは」-スペインかぜは再来するのか-
  • 「食品の安全性」-食品添加物と農薬について-
  • 「水道水の安全性」-安全はどうやって守るの-

多くの方々のご参加をお待ち致しております。

お申し込み方法など詳細は、メルマガ「かわら版@iph」号外でお知らせします。

今月の話題

「大阪府ウエストナイル熱対応指針」

大阪府の健康福祉部は、米国などでの流行が続いているウエストナイル熱に対する対応指針を定めます。このような指針の策定は都道府県では初めてです。ウエストナイル熱の原因であるウエストナイルウイルス(WNV)はウイルスを持つ鳥から吸血した蚊を媒介して人に感染します。人での流行に先立って(2?3か月)カラスが死ぬ例が報告されているため、対応指針にしたがって、死亡カラスからのウイルス検出を継続して行います。また、夏場を中心に府内17箇所において蚊を集め、ウイルスの保有調査を実施します。アメリカなど流行地に滞在した後、帰国・入国した人の感染が確認された場合は、家族など同行者の健康調査を行うとともに患者の入院治療を行い、正しい知識や蚊の駆除などについて情報提供を府や市町村から行います。患者の入院に際してはWNVが人から人への感染がないため隔離の必要はありません。また、蚊やカラスからWNVが分離された場合は蚊の調査を集中的に行い、周辺地域の蚊の駆除を実施します。また住民が蚊に刺されないような防御策の周知をはかり、相談窓口を本庁や保健所に設置します。さらに流行地からの入国・帰国者でない人の感染が確認された場合は国内での感染が疑われるので、患者の行動範囲等の調査、周辺での死亡鳥の調査、蚊のウイルス保有調査などを検討し、感染源の特定をはかります。この場合も相談窓口を設置し、蚊の駆除や個人の防御策の周知をはかります。なお、以上いずれの場合も蚊、鳥のウイルス検査は当研究所で行い、ウエストナイル熱が疑われる患者の検査は医療機関あるいは当研究所で実施されます。

(ウイルス課 大竹 徹)

研究の窓から

「紫外線吸収剤及びその関連化合物による女性ホルモン様作用」

近年、工業や農業、商業活動、日常社会生活を通じて使用されている多くの合成化学物質の中には、内分泌機能を攪乱し、環境中の生物やヒトに悪影響を及ぼす可能性のあるもの(内分泌攪乱化学物質)が存在することが指摘されてきました。探索の結果、60種類余の化合物が疑わしい化合物としてリストアップされています。その中には、種々の農薬、ダイオキシン類やPCB、フタル酸エステル類、ビスフェノールAやアルキルフェノール類、等と共に、医薬品等の合成原料や保香剤として使用されるベンゾフェノン(BP)が報告されています。また、Benzophenone-3(BP-3)等のBP類は、紫外線吸収作用を持つことから日焼け止めクリーム等の化粧品中で多く使用されています。最近、化粧品に使用される他の紫外線吸収剤(octyl-methoxycinnamate(OMC)や4-methylbenzylidene camphor)も同様に、内分泌攪乱作用のうち女性ホルモン様作用を示すことが明らかになってきました。一方、ドイツ女性の母乳中に紫外線吸収剤のBP-3やOMCが脂肪重量あたり数十ppbの濃度で汚染が検出されたとの報告があり(Hany & Nagel, 1995)、胎児や新生児への移行による影響を含めヒトに対する健康影響が懸念されます。

私達は、これらの報告以外の紫外線吸収剤にも女性ホルモン様作用が認められるか否かを調べるため、化粧品に使用される成分個々(合計33種類)についてヒト乳ガン培養細胞MCF-7や、当所で開発されたヒトのエストロゲン反応遺伝子導入のチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHOOSERE)による細胞増殖試験、及びエストロゲンリセプター(ER)に対する女性ホルモン17β-estradiol(E2)との結合競合試験を指標として女性ホルモン様作用を測定しました。その結果etocryleneやoctocryleneに、活性を示す他の紫外線吸収剤と同程度かやや弱い活性が認められることが分かりました(活性強度は、細胞増殖試験ではetocryleneでE2の約10万分の1、octocryleneでは約100万分の1、またERαを用いた結合競合では、etocryleneは合成女性ホルモンdiethylstilbestrol(DES)の活性の約千分の1、octocryleneでは約1万分の1、ERβを用いた結合競合では、etocryleneでDESの約百分の1、octocryleneでは約千分の1。今後、これらの紫外線吸収剤の環境中での汚染状況調査を始め、実験的に女性ホルモン様作用が認められる化合物が、母乳を含めどの程度生体内に蓄積しているのか、また母乳を介して新生児に移行する割合はどの程度なのか等の健康に結びつく課題を調査・研究していく必要があると考えています。

(食品化学課 松本)

ここが知りたい一問一答、一般の方からの質問にお答えして

「介護労働者の腰痛などに関する相談」

Q、6月2日の介護老人福祉施設集団指導の会場にて、公衛研の平成14年度調査報告書とパンフレットを配布した。そのパンフレットを、従業員にも配りたいので、100部送って欲しい。

A、説明文書などを添えて、パンフレット「腰痛の起こらない介護現場実現のために(PDF:7,148KB)」を100部、郵送した。
生活衛生課(旧労働衛生部)では、平成13年度「高齢者介護サービス従事者の腰痛・頸肩腕障害の軽減策に関する調査」、平成14年度「老健施設・訪問介護事業所の腰痛・頸肩腕障害の軽減策に関する調査研究PDF:24KB)」を行い、その成果をパンフレット「腰痛の起こらない介護現場実現のために」にまとめました。高齢化社会が進行している中で、高齢者介護サービス従事者の役割はますます重要になっていくと考えられます。高齢者が安心して生活できる社会の実現のためには、介護サービス従事者が健康に働き続けることができる職場を作ることが必要です。ところが、調査では介護施設常勤職員の65%が腰痛を訴えていることがわかりました。そこで、上記のようなパンフレットを4000部つくりましたが、質問のようなご要望が多く、ほとんど残っておりません。当所のホームページには調査結果の概要とパンフレットを掲載しておりますので、参考になれば幸いです。

(生活衛生課 田淵)


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かわら版@iph編集部
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公衛研ニュース編集会議/企画調整課
大阪市東成区中道1-3-69
電話番号:06-6972-1321

お問い合わせ

公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326