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大阪健康安全基盤研究所

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かわら版@iph 4号 2003年12月26日発行

配信された文面をもとに、一部修正を行っています。URLやメールアドレスは配信当時のものです。

今年も押しせまって参りました。大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン「かわら版@iph」4号をお届けいたします。
直接講読を希望される方がございましたら、本誌末尾の講読申し込みアドレスをお伝えいただくようお願いいたします。
2004年も相変わりませず、ご愛読よろしくお願い申し上げます。

目次

  • 今月の話題
    「酢ガキのおいしい季節になりました」
    「冬の室内環境」
  • 研究の窓から
    「環境や人体に蓄積する難燃剤ポリ臭化ジフェニルエーテル」
  • ここが知りたい一問一答
    「ヤモリの駆除」
  • 質問・問合せはこちらまで。
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今月の話題

酢ガキのおいしい季節になりました

冬の味覚、カキのシーズンが始まりました。

しかし、この時期に合わせて流行するのがノロウイルス(注1)というウイルスによる胃腸炎で、大阪府の冬場の食中毒発生件数でトップの座を占めています。

このウイルスは、ヒトの体内でしか増えませんが、便とともに排泄されたウイルスが、河川から海に入り、カキなどの二枚貝に蓄積されます。それを生で食べることにより、倦怠感、腹痛、嘔吐、下痢などの症状の食中毒を起こします。また、少量のウイルスでも感染するので、ウイルスを保有するヒトから健康なヒトへ伝染する感染症の原因にもなるウイルスです。

公衛研では、毎年、岩カキやホタテ、生カキなどからのノロウイルスの検出を行っています。平成14年度の検査では、夏季の岩カキやホタテは、10検体中1検体、冬季の生カキは、30検体中9検体から検出されました。ノロウイルスは、培養することも実験動物に感染させる事もできません。そこで、検出は、RT-PCR法という遺伝子を増幅させる方法で行っています。

酢ガキは美味しいのですが、感染の可能性は捨てきれませんので、カキ鍋やカキフライ等、加熱して食べることをお勧めします。

  • 注1 カリシウイルス科に属するウイルスで、以前は小型球形ウイルス(SRSV)と呼ばれていましたが、2002年の国際ウイルス学会の命名委員会で正式にノロウイルスと命名されました。公衛研ニュース第6号

(細菌課 依田 知子)

冬の室内環境

最近、「シックハウス症候群」という言葉を新聞等でご覧になった方も多いのではないでしょうか。主に住宅の建材や家具に含まれている「ホルムアルデヒド」などの化学物質によって室内の空気が汚染され、住んでいる人が健康を害するものです。

一般に建材等から出てくる化学物質の量は気温の高い夏場のほうが冬よりも多くなります。しかし、冬はどうしても窓を開ける機会が減りがちです。また、室内を暖房しているため、冬のほうが夏よりも室内空気中の化学物質の濃度が低いとは、必ずしもいえません。暖房器具、特に石油ストーブの使用によって灯油から発生する幾つかの化学物質が室内の空気を汚染します。快適な室内環境を維持するためには、寒い冬場も定期的に窓を開けて換気するよう心掛けたいものです。

(生活衛生課 吉田 俊明)

研究の窓から

「環境や人体に蓄積する難燃剤ポリ臭化ジフェニルエーテル」

難燃剤は、可燃性物質であるプラスティック、ゴム、木材、繊維等を燃えにくくするために用いられる物質で、火災予防や人命保護のためには必要不可欠なものです。ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDEs)は、有機臭素系難燃剤の1種で、世界中で大量に使用されてきた主要な難燃剤です。PBDEs、特に4-6臭素化物を主成分とする製品(ペンタ-BDE)は、環境中で分解されにくく、生体への蓄積性が高いという問題点が明らかになってきました。また、急性毒性は低いのですが、一部のPBDEsは血中の甲状腺ホルモン濃度を低下させ、特に新生仔マウスへの投与では回復不能な脳神経機能の障害(学習障害・行動異常)を引き起こすと報告されています。

近年、海外で野生生物や人体中のPBDEs濃度が急上昇していることが明らかにされ、我が国においてもPBDEs汚染実態の解明が急務となりました。当所では、1980年代から環境中のPBDEsのレベルを先行的に調査してきたところですが、食品化学課でも最近、近海産の魚介類およびヒト母乳中のPBDEs濃度を調査しその結果を発表しました。

これまでの調査結果をまとめますと、近年の大阪府および我が国の平均的なPBDEs汚染状況は、スウェーデンと同程度であり、汚染の進行が著しい米国やカナダと比べると1-2桁低いレベルに留まっています。なお、府下の初産婦母乳中のPBDEs濃度は1990-2000年代にかけてほぼ横ばいの状態(乳脂肪1グラムあたり約1-2ナノグラム)で推移しており、直ちに乳児への健康影響が問題となるようなレベルではありませんでした。

蓄積性の高いペンタ-BDEが現在も使用されている北米地域と異なり、我が国では1990年代初頭から産業界がペンタ-BDEの使用を自粛してきたために汚染の深刻化を免れたとも考えられます。しかし、PBDEsの環境内挙動や輸入食品・輸入難燃化製品を介した人体汚染の実態については未解明な点も多く、当所では今後も府内のPBDEs汚染状況を監視していく予定です。

(食品化学課 阿久津 和彦)

ここが知りたい一問一答

Q、ヤモリ駆除

何としても駆除したいのですが、即効性があり充分効果的な方法は無いのでしょうか?益獣と言っても、蚊やゴキブリを本当に捕まえられるのでしょうか?あのスローモーションな動作からは想像できません。犬猫が好きというのは解ります。ヤモリが好きな方もいるとか?被害遭遇していないからだとは思いますが?

是非、的確な排除或いは駆除方法をご教授ください。

A、ヤモリは「家守」と書きます。益獣ですから駆除しないでください。蚊や小さい蛾を食べています。あまり動かないようですが、じっと待っていて、気づかずに近づいた虫を一瞬の動きで口にくわえます。

どうしても気持ち悪いという場合は、家の中に入らないように進入路をなくして防ぐことをおすすめします。換気扇や換気口をふさぐのが難しいですが、換気扇の内側に油取り用のフィルターを当てる方法があります。換気口には網戸の網を張ればよいかと思います。

あまり、ご希望に添える返事ではないかと思いますが、人間だけの世界ではないのですから害にならない限り、他の生き物にも生活の場を認めてやってください。


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