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大阪健康安全基盤研究所

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かわら版@iph 2号 2003年10月31日発行

配信された文面をもとに、一部修正を行っています。URLやメールアドレスは配信当時のものです。

大阪府立公衆衛生研究所メールマガジン「かわら版@iph」2号をお送りいたします。

「かわら版@iph」は通常は月1回の発行ですが、感染症のアウトブレイクや健康危機発生時には迅速に健康情報をお知らせできるようにしたいと考えております。

直接講読を希望される方がございましたら、本誌末尾の講読申し込みアドレスをお伝えいただくようお願いいたします。

目次

  • 今月の話題
    ウエストナイルウイルスのサーベイランス(続報)
    健康食品の買上げ検査
  • 研究の窓から
    インフルエンザ迅速診断キットの最近の話題
  • ここが知りたい一問一答 一般の方からの質問にお答えして
    修景水のレジオネラ属菌
  • 質問・問合せはこちらまで。
  • 講読の新規登録/停止はこちら
  • 2号に対するご意見はこちら

今月の話題

ウエストナイルウイルスのサーベイランス

ウエストナイル熱やウエストナイル脳炎は蚊が媒介するウイルス性感染症です。現在のところ日本では発症例は報告されていません。しかし、アメリカ合衆国では昨年4,156名の患者が発生し、今年に入って既に45の州で7,386名の患者が発生し155名が死亡しています(10月22日現在)。

先月もお知らせしましたように、大阪府ではウエストナイルウイルスが侵入していないか、府内の蚊のウイルスサーベイランスを行いました。8月19日から10月7日まで定期的に捕獲機器(CDCトラップ)を府内17市に設置し、回収した蚊にウイルスがいるかを調査しました。

調査結果は全て陰性でした。
http://www.pref.osaka.jp/fumin/html/01354.html公衆衛生研究所は、採集した蚊からのウイルス検出検査を分担しています。

(ウイルス課 弓指、瀧)

健康食品の買上げ検査

大阪府では、平成15年度から健康食品の安全対策事業の一環として、新聞広告やインターネット広告等を用いて販売されている健康食品の買い上げ検査を実施しております。この買上げ検査は、健康食品による健康被害の未然防止や拡大防止を目的としています。
今回、インターネットによる通信販売で強壮などを謳い文句にした下記4製品を当研究所で分析したところ、医薬品成分であるクエン酸シルデナフィル(注1)を検出し、薬事法の規定に違反する無承認無許可医薬品であることが判明しました。
大阪府として、大阪府内の販売業者に対しては、当該製品の販売中止、インターネット広告からの削除及び速やかな回収を指示するとともに、東京都内の販売業者については、東京都に通報しました。また、大阪府内では下記4製品に係る健康被害の報告はありませんでしたが、これらの製品を持っている方に対しては、直ちに使用を中止し、健康被害が疑われる場合には、速やかに医療機関で受診していただくよう呼びかけています。

なお、詳細については、次の大阪府ホームページをご覧ください。http://www.pref.osaka.jp/yakumu/houdou1.htm

  • 注1 クエン酸シルデナフィル:医薬品「バイアグラ錠」の有効成分。服用にあたって医師の処方箋が必要。頭痛、ほてり、視覚障害等を起こすことがある。また、重篤な血管系等の有害事象が報告されている

製品名:メンズセブン

販売業者:モスコム(東京都渋谷区渋谷2-7-14)
販売元:一兆物産(大阪府堺市草部140-1A号)

製品名:男丸

販売業者:株式会社スミトモセリーヌ(東京都渋谷区渋谷3-27-12並木ビル4F)
発売元:株式会社スミトモセリーヌ(東京都渋谷区渋谷3-27-15坂上ビル4F)

製品名:猛虎

販売業者:日本紳士協会健康食品事業部(大阪市中央区南船場2-8-2宮本ビル3F)

製品名:パープル6(カウクルア(豆科)加工食品)

販売業者:カクーズネスト(東京都中野区大和町4-35-5-201)
製造者:有限会社ハヤマボタニックス(東京都品川区東中延2-4-10)

(薬事指導課 山本)

研究の窓から

インフルエンザ迅速診断キットの最近の話題

本年3月上旬頃から香港から世界中に広がったSARS(重症急性呼吸器症候群)は、7月5日にWHOが封じ込め宣言を行い、現在のところ一応終息しています。しかし、これから冬を迎えるにあたり、多くの研究・行政機関がSARS流行に対する警告を発しています。ここで重要なことは、急な発熱・呼吸器症状など症状が似ているインフルエンザに対する対策です。SRASとインフルエンザを混同してパニックが生じる可能性が危惧されています。その対策の1つにインフルエンザの迅速診断があります。
当所では、迅速診断キットの性能を生きたウイルスを検出する方法(ウイルス分離:注1)と比較して調査しています。その結果、検査材料としては、咽頭拭い液よりも鼻腔拭い液あるいは鼻腔洗浄液の方が、陽性率が高い傾向にあり、また、検査は経日的に連続して行う方が、その精度が上がることがわかりました。
インフルエンザの迅速診断キットは、未だ開発途上段階にあり、これからもいい製品をめざして選択淘汰されるものと思われ、我々の期待に合致した製品を手にするにはもう少し時間が必要です。

  • 注1 ウイルス分離:インフルエンザウイルスでは、ウイルスに感染しているかどうかを確かめる確実な方法と考えられている。

(ウイルス課 加瀬)

ここが知りたい一問一答 一般の方からの質問にお答えして

Q.修景水(注1)のレジオネラ属菌
修景水の検査をしたところレジオネラ属菌が検出されました。
レジオネラ属菌とはどのような菌ですか?
また、どのような対策をとったら良いのでしょうか。

A.レジオネラ属菌は土壌や淡水に広く生息する細菌で、土埃などと共に冷却塔や修景水などの人工環境水に入ると、バイオフィルム(注2)中のアメーバに寄生したり、他の微生物の代謝産物を栄養源として増殖します。この菌に汚染されたエアロゾル(注3)を吸い込むとレジオネラ肺炎を引き起こすことがあります。
最近では、大型入浴施設や大型客船内の循環式浴槽を感染源とするレジオネラ肺炎の集団感染がおこり社会的にも問題になっています。
当研究所が行なった修景水の調査では、約20%の施設からレジオネラ属菌が検出されました。
修景水は人と直接触れる機会が多いことから感染源になる可能性も有り、汚染防止対策が必要です。対策としては、水景設備・配管・ろ過装置の清掃を行うことによって、バイオフィルムを除去し、必要に応じて薬剤を使って消毒を行います。対策後は定期的にレジオネラ属菌検査を行い、検出しないことを確認してください。

  • 注1 修景水:噴水・池などの人工的に造られた水景施設の環境水のこと
  • 注2 バイオフィルム:生物膜、ぬめりのこと
  • 注3 エアロゾル:霧状の小さな水滴

(環境水質課 枝川)


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公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326