コンテンツにジャンプメニューにジャンプ
大阪健康安全基盤研究所

トップページ > 一般の方へ > 4月25日は世界マラリア・デーです。―マラリアは世界3大感染症―

4月25日は世界マラリア・デーです。―マラリアは世界3大感染症―

掲載日:2021年4月19日

マラリアは亜熱帯・熱帯地域を中心に感染者数が多く、人類に甚大な健康被害をもたらしている感染症です。日本ではマラリアは比較的稀な輸入感染症ですが、特に熱帯熱マラリアの場合、診断や治療の遅れにより致命的(年間1~3例)になることがあります。また、薬剤耐性(抵抗性)マラリア原虫や殺虫剤耐性媒介蚊も出現しています。マラリア対策は世界各国が協調して進めている地球規模の課題です。

世界マラリア・デーの由来

4月25日は、2007年の世界保健機関(WHO)総会で決められたマラリア対策推進のための記念日、世界マラリア・デーです。

 

概要

  • マラリアは、結核やエイズ(後天性免疫不全症候群)と共に、人類に甚大な健康被害を及ぼしている世界3大感染症です。
  • マラリアは寄生虫(原虫)を原因とする生命を脅かす疾患です。マラリア原虫には5種類(熱帯熱、三日熱、四日熱、卵形、サルマラリア原虫)ありますが、人間の生命に脅威となる原虫は熱帯熱と三日熱マラリア原虫です。
  • 蚊媒介感染症であり、原虫を保有した雌のハマダラカに刺咬されることで人に感染します。
  • 予防や治療が可能です。しかし、成人向け予防接種ワクチンはなく、乳幼児向けには、2019年からアフリカの3つの国でRTS,S/AS01 (RTS,S)ワクチンのパイロットプログラムが実施されている段階です。
  • 5歳未満の子どもが最もマラリアの影響を受けやすく、2019年のマラリアによる全ての死亡のうち、67%がこの年代の子どもでした。
  • 2019年には世界で約2億2,900万人のマラリア患者が発生したと推定されています。
  • 2019年における世界のマラリア死亡者数は約409,000人です。
  • 特に、アフリカ地域でマラリアの脅威・健康被害が甚大です。2018年において、世界のマラリア患者の93%、マラリア死亡者数の94%がアフリカ地域に起因しています。
WHO:マラリア 

国立感染症研究所:マラリアワクチン開発の世界的動向


発生動向(世界、日本、大阪府)

現在でも多くの患者や死亡が発生しています(表)。現在、日本では国内感染例はなく、マラリアは輸入感染症です。輸入マラリア(熱帯熱や三日熱が多く、報告例の90%以上)の主要な推定感染地域として、熱帯熱マラリア症例の多くはアフリカ、三日熱マラリア症例の多くはアジア、オセアニア、中南米の熱帯・亜熱帯地域です。 

表.マラリア発生動向や死亡

 

2019年

2018年

2017年

2016年

世界

229,000,000

(死亡:409,000)

228,000,000

(死亡:405,000)

231,000,000

(死亡:416,000)

227,000,000

(死亡:427,000)

日本

57

(死亡:0)

50

(死亡:0)

61

(死亡:2)

54

(死亡:2)

大阪府

4

(死亡:0)

7

(死亡:0)

2

(死亡:0)

3

(死亡:0)

WHO:世界マラリア報告書 2020
国立感染症研究所:発生動向調査年別報告数一覧(全数把握)
大阪府感染症情報センター:感染症発生動向調査事業報告書(年報)
      

潜伏期間、症状や重症化

  • 潜伏期間:7~40日間
  • 症状:発熱、悪寒、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛
  • 重症化:特に、熱帯熱マラリアは発症から24時間以内に治療しないと重症化し、しばしば死に至ります。脳症、腎症、肺水腫、出血傾向、重症貧血など、さまざまな合併症がみられます。
  • なお、マラリアの蔓延地域では、住民に免疫応答が成立し、不顕性感染を呈することもあります。

厚生労働省検疫所:マラリアについて 

      厚生労働省検疫所:マラリアに注意しましょう!

予防:予防薬や蚊対策

  • マラリア流行地へ渡航する際、抗マラリア薬の予防内服を行うことが望ましいとされています。マラリア予防薬は、医師の処方が必要です。ご自分の体調や渡航先について事前に専門医と相談し、専門医の指示に従って服用してください。予防薬を服用していても防蚊対策は必要です。
  • マラリアを媒介するハマダラカは主に夕暮れから明け方にかけて活動します。長袖・長ズボンを着用し、できる限り肌の露出を少なくしましょう。最善の策は蚊に刺されないことです。
  • 蚊刺咬対策として虫よけスプレーやローションが使われています。防虫薬濃度によって、効果の持続時間が異なります。頻回に塗る必要性など、予め情報を入手しましょう。

治療 

  • 流行地に入ってから7日目以降にマラリアを疑う症状(発熱、寒気、頭痛、嘔吐、関節痛、筋肉痛など)が出た場合、速やかに医療機関を受診してください。
  • 予防薬を内服していても感染することがあります。
  • 海外で症状が出たときのために、渡航先の医療事情を確認しておきましょう。
病原微生物検出情報(IASR):特集マラリア2006~2017
国立感染症研究所:感染症の話(マラリア)
大阪府:マラリアについて

お問い合わせ

公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326