血糖値スパイク~糖尿病のリスク~
掲載日:2025年11月14日
11月14日は世界糖尿病デーです。世界各地で、糖尿病の予防や治療などについての啓発が行われています。
糖尿病とは、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が慢性的に高くなる病気です。
これまで本ページでは、「インスリンの働き」、「糖尿病の分類や治療」、「糖尿病の合併症」など、糖尿病に関する情報をお伝えしてきました。
糖尿病という病気は、血糖値が高い状態というだけではなく、「どのように血糖値が上がり、下がるか」といった血糖値の変動も重要です。「血糖値スパイク」という食事に関係して起こる急激な血糖変動が近年注目されており、今回はこの「血糖値スパイク」についてご紹介します。
「血糖値スパイク」とは
血糖値スパイクとは、食後に血糖値が急上昇し、その後急激に低下する現象です(図)。
通常、血糖値は食後に一時的に上がりますが、適切な量のインスリンが速やかに働くことで、緩やかに下がります。しかし、食事で糖を多く摂ることや、インスリンの働きの遅れなどにより、血糖値の急上昇と急低下が起こります。これが血糖値スパイクです。
図:血糖値スパイクのイメージ
血糖値スパイクの悪影響
糖尿病では、高血糖が血管を傷つけます。血糖値スパイクも同じように、急激な血糖値の変動そのものが血管にダメージを与えることがわかっています。
そして、血糖値スパイクを繰り返すことで、やがて血糖値が常に高い状態となり、糖尿病の発症につながるおそれがあります。
血糖値スパイクは、健康診断などで測定している「空腹時血糖」が正常であることが多く、気づけないことがあるため、血液検査結果で血糖値が気になっている方、血糖値に関して指摘された方は、かかりつけ医をはじめとした医療専門職に相談しましょう。
また、例えば、食事を抜くことが多い、早食いである、家族に糖尿病の方がいる方は、血糖値スパイクである可能性があります。詳しい検査(経口糖負荷試験や持続血糖検査など)の必要性について、医師などにご相談ください。
最後に
まずは、健康診断を受け、普段の血糖値の状態を確認することが第一歩です。
血糖値スパイクも糖尿病も、食事内容や食べ方の工夫、適度な運動や睡眠など、生活習慣の改善が大切です。
<一口メモ>
糖尿病のコントロールの指標として、「HbA1c」というものがあり、最近1~2か月間の血糖値の平均値の高さを反映します。
血糖値スパイクを示す方は空腹時血糖だけではなく、HbA1cの値も正常なことがあります。
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