水道水質基準等の改正について
掲載日:2019年4月26日
農薬類に関する改正について
平成31年4月1日付で水道水質基準等が改正されました。今回の改正において水道水質基準項目についての改正はありませんでしたが、水質管理目標設定項目の農薬類について以下の改正がありました。
1.目標値の変更1)
内閣府食品安全委員会の食品健康影響評価に基づき、対象農薬リスト掲載農薬類の3農薬とその他農薬類の2農薬について目標値が変更されました(表1)。カルバリル(NAC)、プロベナゾール、MCPBおよびシペルメトリンの4農薬が強化され、メタラキシルが緩和されました。
農薬名 |
分類 |
新目標値 (mg/L) |
旧目標値 (mg/L) |
カルバリル (NAC) |
対象農薬類 |
0.02 |
0.05 |
プロベナゾール |
対象農薬類 |
0.03 |
0.05 |
メタラキシル |
対象農薬類 |
0.2 |
0.06 |
MCPB |
その他農薬類 |
0.03 |
0.08 |
シペルメトリン |
その他農薬類 |
0.06 |
0.1 |
2.対象農薬リストの更新1, 2)
登録が失効した農薬であり、昨今の原水中での検出実態がないことから、エディフェンホス(エジフェンホス、EDDP)、エトリジアゾール(エクロメゾール)、カルプロパミドおよびメチルダイムロンの4農薬が対象農薬リストから削除され、除外農薬類へ変更されました。また、オリサストロビンの代謝物である(5Z)-オリサストロビンについては濃度を測定し、原体の濃度に換算して原体の濃度と合計して算出することになりました。対象農薬リスト以外では、昨今の検出実態を踏まえて、イプフェンカルバゾンが要検討農薬類に新たに追加されました。また、除外農薬類であったイプロジオンについて代謝物に関する知見を踏まえて、要検討農薬類にするとともに、代謝物であるN-(3,5-ジクロロフェニル)-3-イソプロピル-2,4-ジオキソイミダゾリジン-1-カルボキサミドの濃度を測定し、原体の濃度に換算して原体の濃度と合計して算出することになりました。
表2. 農薬類の分類変更の概要
農薬名 |
新分類 |
旧分類 |
エディフェンホス (エジフェンホス、EDDP) |
除外農薬類 |
対象農薬類 |
エトリジアゾール (エクロメゾール) |
除外農薬類 |
対象農薬類 |
カルプロパミド |
除外農薬類 |
対象農薬類 |
メチルダイムロン |
除外農薬類 |
対象農薬類 |
(5Z)-オリサストロビン |
対象農薬類 (原体であるオリサストロビンと合算) |
― |
イプフェンカルバゾン |
要検討農薬類 |
― |
N-(3,5-ジクロロフェニル)-3-イソプロピル-2,4-ジオキソイミダゾリジン-1-カルボキサミド |
要検討農薬類 (原体であるイプロジオンと合算) |
― (原体であるイプロジオンは除外農薬類) |
当課ではすでに新しい目標値に対応しているとともに、新しく追加された、(5Z)-オリサストロビン、イプフェンカルバゾンおよびN-(3,5-ジクロロフェニル)-3-イソプロピル-2,4-ジオキソイミダゾリジン-1-カルボキサミドについても分析可能な体制を構築しています。
今後の改正の予定
令和2年4月1日に六価クロム化合物の水道水質基準の改正が予定されています。内閣府食品安全委員会の答申により新しいTDIとして1.1 μg/kg体重/日が示され、平成30年11月15日の水道基準逐次改正検討会において新評価値として0.02 mg/Lが提案されました3)。現行の基準値である0.05 mg/Lより強化されることから、当課におきましてもこれに対応するべき標準作業手順書(SOP)の改定や妥当性評価の再実施を進める計画です。
引用文献
- 厚生労働省大臣官房生活衛生・食品安全審議官、「水質基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について」の一部改正(平成31年3月29日付、生食発0329第6~9号)(2019)
- 厚生労働省医薬・生活衛生局水道課長、「水道基準に関する省令の制定及び水道法施行規則の一部改正等について」の一部改正における留意事項について(平成31年3月29日付、薬生水発0329第3~6号)(2019)
- 厚生労働省水道課水道水質管理室、水道水質管理の最近の動向について、平成30年度水道水質検査精度管理に関する研修会資料(平成31年2月27日)(2019)
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