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大阪健康安全基盤研究所

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遺伝子組換え食品について

掲載日:2020年3月31日

遺伝子組換え食品とは

 生物の細胞から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、他の生物の遺伝子に組み込み、新しい性質をもたせることを遺伝子組換えといいます。この技術では、従来行われてきた品種改良と違い、組み込む有用な遺伝子が生物種を超えていろいろな生物から得られるため、生産者や消費者の求める性質を効率よく農産物にもたせることができます。これまでに、特定の除草剤で枯れない農産物や害虫に強い農産物、栄養素のオレイン酸を多く含む大豆などが開発されています。
 現在、表1に示す大豆やとうもろこしなど農産物(8種類)とそれを原材料とした加工食品(33種類)については、厚生労働省により審査を受け、安全性が確認されており、流通が認められています(令和元年1112日時点)。一方で、安全性審査を受けていない遺伝子組換え農産物や、これを原材料に用いた食品等の製造・輸入・販売は、食品衛生法により禁止されています。

2003GMO_Table.jpg

生産流通管理について

 現在、日本国内で食用を目的とした遺伝子組換え農産物は、商業栽培されていません。このため、日本国内で流通する可能性がある遺伝子組換え食品は、外国から輸入された農産物を原料とするものに限られています。
 大豆やとうもろこしなどの輸入遺伝子組換え農産物について、日本では、「分別生産流通管理(IPハンドリング;Identify Preserved Handling)」という手法を用いて管理を行っています。具体的には、遺伝子組換え農産物が非遺伝子組換え農産物に混入することを防ぐため、生産・流通及び加工の各段階で管理し、その旨を書類により証明しています。

遺伝子組換え食品の表示について

 遺伝子組換え食品の表示については、食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)に定められています。ここでは、豆腐を例に、原材料名の大豆の表記について例をあげ、その意味を解説していきたいと思います。


2003GMO_FIG.jpg

~表示例~

1.大豆(遺伝子組換え)

2.大豆(遺伝子組換え不分別)

3.大豆(遺伝子組換えでない)、大豆(遺伝子組換えでないものを分別)等


さて、同じ大豆を原料とした豆腐でも表示によってどのような違いがあるのでしょう?

 

~解説~

1. 大豆(遺伝子組換え)

文字通り、遺伝子組換え大豆を原料として作られた豆腐です。

2. 大豆(遺伝子組換え不分別)

  IPハンドリングによる管理を行なっていないため、使用されている大豆には、遺伝子組換え大豆が混入している可能性があります。

 上記1と2の表示には、「表示義務」があり、遺伝子組換え農産物を原料としている場は、必ず表記をする必要があります。

3. 大豆(遺伝子組換えでない)、大豆(遺伝子組換えでないものを分別)等

遺伝子組換え大豆全く含まれていないという意味?残念ながら、そうではありません。

使用されている大豆には以下の2通りのものがあります。

  1. IPハンドリングによる管理を行い、遺伝子組換え大豆を原材料として使用していないもの
  2. IPハンドリングによる管理を行なっているが、意図的ではない遺伝子組換え大豆の混入が5%以下である大豆。

 3.の表示に関しては、任意表示です。しかし、消費者に誤解を招いてしまう場合もあることから、任意表示については、情報が正確に伝わるよう、表示が以下のように改正されます。
(改正後の食品表示基準は
20234月に施行されます)

  1. IPハンドリングによる管理を行い、遺伝子組換え大豆が含まれていないことが確認できるもの大豆(遺伝子組換えではない)、大豆(非遺伝子組換え)等
  2. IPハンドリングによる管理を行なっているが、意図的ではない遺伝子組換え大豆の混入が5%以下である大豆。
 大豆(分別生産流通管理済み)、あるいは以下のような表現で表示する
 原材料に使用している大豆は、遺伝子組換えの混入を防ぐために分別生産流通管理を行なっています等

 

まとめ

 今回は遺伝子組換え食品について、豆腐に使用される大豆の表示を例として解説を行いました。2023年に改正が予定されている遺伝子組換え食品の任意表示については、実際に使用した原材料の比率に応じた表示が定められることになるため、消費者にとっては表示による選択肢の拡大に繋がると考えています研究所でも大阪府内に流通する食品を対象に遺伝子組換え食品の検査を実施しているため今後も食品の安全安心の確保のために努めてまいります。

 

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衛生化学部 食品化学2
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