夏に流行する感染症ー手足口病ー
掲載日:2018年8月20日
手足口病とは?
手足口病は、手・足・口を中心に発しんが出現する感染症です。5才未満の乳幼児を中心に夏に流行しますが、成人の発症例も少数報告されています。大阪府内では、2011年以降、隔年で大きな流行が確認されています。
症状と治療法について
水疱性(水ぶくれ)の発しんが現れ(写真)、風邪のような症状や発熱を伴う場合もあります。発しんは、名前のとおり、手・足・口(特に口内側の粘膜)に多いですが、腕や太もも、お尻などに出現することもあります(他の手足口病写真へのリンク)。一般的に、口の中の発しんは痛みを伴うことが多く、食欲(哺乳力)低下、脱水の原因となるため、注意が必要です。
治療法については、現在、特効薬は無く、症状を和らげる対症療法が中心です。通常は1週間程度で軽快しますが、まれに髄膜炎、脳炎などの合併症をひきおこすことがありますので、容態が急変した際は、速やかに医療機関を受診してください。
写真.手足口病の発しん(提供:八尾市八木小児科)
手足口病の原因はウイルスです
手足口病はウイルス(エンテロウイルス)に感染することにより発症し、潜伏期間は3~5日程度です。エンテロウイルスには100以上の型があります。そのうち、手足口病の主な原因となるのは、コクサッキーウイルスA6型、コクサッキーウイルスA16型、エンテロウイルスA71型の3つです。型の異なるウイルスに感染すると、再度、手足口病を発症する可能性があります。このうち、近年増加しているコクサッキーウイルスA6型に感染した場合、1~2ヶ月後に爪が脱落する症例が報告されています。
感染経路と予防方法
感染経路には飛沫感染と接触感染の2つの種類があります。
飛沫感染:くしゃみや咳などの飛沫に含まれるウイルスを吸い込むことにより感染するもの
接触感染:ウイルスが付着した手、ドアノブ、おもちゃなどを通して、目、鼻、口などの粘膜を介して感染するもの
予防法としては、手洗いの励行、排泄物の適正な処理が重要です。
保育所や幼稚園などの集団生活は、感染しやすい環境であり、家庭内にウイルスが持ち込まれる可能性が高まります。新生児や乳児が感染すると、入院治療が必要となる場合があります。手足口病の症状がある場合、新生児や乳児にうつさないよう、過度な接触・タオルの共用を避けるなどして、感染拡大に注意しましょう。症状が治まっても便の中には1ヶ月近くはウイルスが排出される場合がありますので、オムツの処理にも注意が必要です。
登校(園)基準
インフルエンザなどのように明確な基準はありません。快復後も長期間にわたりウイルスを排出し続けていますが、全身状態がよくなれば、登校(園)されることが多いです。学校、施設等で独自に基準を設けていることもありますので、確認されることをおすすめします。
**豆知識**
手足口病の英語名は【Hand, Foot, and Mouth Disease:HFMD】と表記されます。手足口病という奇妙な名前の由来は、英語名の直訳だったのですね。
【参考資料】
手足口病:大阪府感染症情報センター
http://www.iph.pref.osaka.jp/kansen/takuchi/tak.html
手足口病とは:国立感染症研究所感染症疫学センター
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/441-hfmd.html
手足口病・ヘルパンギーナ2007年~2017年9月:病原微生物検出情報38, 191–193: 2017年10月号
https://www.niid.go.jp/niid/ja/hfmd-m/hfmd-iasrtpc/7600-452t.html
2013および2017年におけるコクサッキーウイルスA6型による手足口病患者の臨床的・疫学的観察:病原微生物検出情報38, 198–199: 2017年10月号
https://www.niid.go.jp/niid/ja/iasr-sp/2412-related-articles/related-articles-452/7605-452r05.html
医療関係者の方へ 2011シーズンの手足口病の臨床像(臨床医からの情報):大阪府感染症情報センター
お問い合わせ
電話番号:06-6972-1402