2020年10月からロタウイルスワクチンが定期接種になります
掲載日:2020年8月31日
ロタウイルスによる胃腸炎について
ロタウイルスはヒトを含む哺乳類および鳥類に重篤な下痢症を引き起こし、特にヒトでは、乳幼児の急性胃腸炎の原因となっています。全世界の幼児の90%が3~5歳までにロタウイルスによる胃腸炎に罹患し、医療の普及していない発展途上国を中心に、急性胃腸炎、下痢および脱水により、年間50万人の幼児が死亡していると言われています。日本では、主に乳幼児(4~23 か月児)に重度の脱水症を認め、5歳未満で急性胃腸炎のため入院した4~5割程度が、ロタウイルスによるものです。なお、これらの治療および入院等にかかった費用の総額は約100億円であったという報告があります。現時点で、治療法および治療薬はなく、輸液などの対処療法が中心となっています。
ロタウイルス電顕写真(CDCホームページより)
大阪におけるロタウイルスによる胃腸炎の発生状況
感染性胃腸炎は主に冬季に流行します。その原因となるのは、主にウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)です。大阪府内の冬季の感染性胃腸炎の要因として、12月に流行のピークを迎えるのがノロウイルスであり、3月に流行のピークを迎えるのがロタウイルスです(図)。ノロウイルスによる胃腸炎の流行が収束する春頃に、ロタウイルスによる胃腸炎が多くなる傾向にありますので、手洗いの徹底、密な接触に気をつけましょう。
(大阪府感染症情報センター)
ロタウイルスワクチンとは
2011年に「ロタリックス」が、2012年に「ロタテック」が、任意接種ワクチンとして導入されています。どちらも弱毒生ワクチンであり、接種回数や接種可能期間に違いはあるものの、重症化に対する予防効果には大きな違いはありません。ワクチン接種の効果に関しては、岩手県気仙沼地域や三重県津市において、入院率の減少が報告されています。ロタウイルスワクチンによる副作用は、腸重積症が知られています。しかし、最近の研究では、その頻度は少なく、ロタウイルスワクチンによる恩恵が副作用の発生リスクよりも高いことが報告されています。
ロタウイルスワクチン定期接種へ
現在、任意接種によるロタウイルスワクチン接種率は60%にまで上昇しています。ロタウイルスワクチンは、2020年10月1日から、定期接種となり、2020年8月生まれ以降の乳児を対象に、「ロタリックス」は生後6週から24週までに2回の経口接種、「ロタテック」は生後6週から32週までに3回の経口接種となります(表)。ワクチンのこと、接種時期など、詳細については保健所、近所の医療機関にお問い合わせください。注1)1種類のロタウイルスから作られたワクチン
注2)抗原性の異なる5種類のロタウイルスから作られたワクチン
参考資料
- ロタウイルスに関するQ&A(厚生労働省)
- 日本におけるロタウイルスワクチンの効果(国立感染症研究所 IASR)
- 大阪府におけるロタウイルス検出状況(国立感染症研究所 IASR)
- Rotavirus(WHO)
お問い合わせ
微生物部 ウイルス課
電話番号:06-6972-1401