11月は「薬剤耐性対策推進月間」です
掲載日:2022年10月27日
薬剤耐性とは
薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)とは、それまで治療に用いられてきた薬剤に対し、細菌、寄生虫、ウイルス、真菌等の病原体が防御機構を獲得することをいいます。薬剤が効きにくくなるため治療が難しくなり、その病原体が引き起こす病気の流行、重症化や死亡リスクが高まります。
研究報告2),3)によると、2019年には127万人が薬剤耐性細菌の引き起こす疾患で亡くなったと推定されています。
抗菌薬の効かない耐性菌が増加しています
抗菌薬は細菌による感染症の治療に使う薬剤で、細菌を壊したり、細菌が増えるのを抑えたりします4)。新しい抗菌薬が開発されると、それに耐性を持つ細菌が出現するといったことが繰り返されています。また、新規の抗菌薬の開発には、莫大なコストと時間がかかるため、現在では新しい抗菌薬はほとんど出てこない状況です5)。
耐性菌を出現させないために
抗菌薬を処方された場合は、医師の指示通りの用法・用量・期間を服用することが重要です。自己判断で服用を中断してしまうと、薬に弱い細菌だけが減少し、薬剤耐性菌が生まれる場合や、増えてしまうことがあります6)。症状が改善された場合でも、処方された期間はきちんと飲み切ることが大切です。
【参照情報】
1) AMR臨床リファレンスセンター11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」です
https://amr.ncgm.go.jp/information/campaign2022.html
2) WHO World Antimicrobial Awareness Week 18 - 24 November 2022
https://www.who.int/campaigns/world-antimicrobial-awareness-week/2022
3) Antimicrobial Resistance Collaborators. (2022). Global burden of bacterial antimicrobial resistance in 2019: a systematic analysis. The Lancet; 399(10325):P629-655. DOI: https://doi.org/10.1016/S0140-6736(21)02724-0
https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2821%2902724-0
4) AMR臨床リファレンスセンター 抗菌薬とは
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-3.html
5) AMR臨床リファレンスセンター 日本の薬剤耐性菌の状況
https://amr.ncgm.go.jp/general/1-3-2.html
6) AMR臨床リファレンスセンター どのように耐性化するのか
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-2-1.html
【その他関連情報】
大阪健康安全基盤研究所 薬剤耐性菌感染症 ー多剤耐性緑膿菌とはー
http://www.iph.osaka.jp/s008/020/010/030/120/20180104212000.html
大阪健康安全基盤研究所 薬剤耐性菌感染症 ーバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症が増加していますー
http://www.iph.osaka.jp/s008/020/010/030/20210115105030.html
病原微生物検出情報(IASR) Vol. 42 p158-160: 2021年8月号、大阪健康安全基盤研究所におけるバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)検査
耐性病原体イメージ
お問い合わせ
公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326