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大阪健康安全基盤研究所

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12月1日は世界エイズデーです。

掲載日:2020年11月27日

世界エイズデー(World AIDS Day:12月1日)は、世界規模でのエイズのまん延防止と患者・感染者に対する差別・偏見の解消を目的に、世界保健機関(WHO)が1988年に制定したものです。毎年12月1日を中心に、世界各国でエイズに関する啓発活動が行われています。

エイズとは?

エイズ(acquired immunodeficiency syndrome・AIDS、後天性免疫不全症候群)は、ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus・HIV)の感染によって引き起こされる病気です。HIVは免疫を制御するCD4陽性リンパ球細胞に感染し、その中で増殖します。これらの細胞が徐々に破壊されると免疫力が低下し、健康な人には病気を起こさないような弱い病原体による感染症(日和見感染症)や悪性腫瘍を引き起こし、エイズ発症に至ります。

発生動向

日本の発生動向調査においてはHIV感染を含め後天性免疫不全症候群として報告され、2019年の新規報告数は、1,236件でした。年間新規報告数は、2013年の1,590件をピークに減少傾向を示しています。(エイズ予防情報ネット:日本の状況:エイズ動向委員会)大阪府では、2019年に139件の報告があり、2016年以降減少傾向です。(大阪府感染症情報センター:HIV発生状況)世界では、2019年末現在、新規HIV感染者数は年間約170万人と報告されています。世界全体では2010年の210万人から減少していますが、地域によっては増加しているところもあります。(エイズ予防情報ネット:UNAIDS「ファクトシート2020」(日本語訳)

HIV感染後エイズ発症まで数年から10年程度を要するにもかかわらず、エイズ発症により初めてHIV感染が判明する例(いわゆる「いきなりエイズ」)が、日本国内で毎年約400人(2019年は333件(新規報告数の26.9%))報告されています。HIVに感染しているが自らの感染を知らないHIV感染者がいると考えられます。治療を早期に開始し、継続することによりエイズ発症を防ぐことができます。感染を早期に発見することが重要です。

国立感染症研究所: AIDS(後天性免疫不全症候群)とは

感染経路と臨床症状

感染の主な要因は「性行為」です。日常生活において性行為以外でHIVに感染することはありません。回し飲み、くしゃみ、握手や体に触れるなどの行為ではHIVに感染しません。

感染初期(急性期)では、一過性の発熱、頭痛、倦怠感などのインフルエンザ様症状や筋肉痛、皮疹などがみられることがありますが、数週間で消失します。その後、無症状の期間(無症候期)が長く続きますが、本人に自覚症状がないため、知らないうちに他の人に感染させる可能性があります。

感染が進行して免疫力が低下すると、次第にリンパ節の腫張、体重減少、発熱、下痢、咳などの症状がみられるようになります。

適切な治療をしなければ、感染者には、結核、クリプトコックス髄膜炎、重症細菌感染症といった重篤な感染症や、リンパ腫、カポジ肉腫といった悪性腫瘍が現れます。(エイズ発症期)

治療

HIVに感染した場合でも、早期に治療を開始することで、高い効果が得られます。

3種類以上の抗HIV薬を併用する抗レトロウイルス療法(antiretroviral therapy・ART)でHIVの増殖を抑制することができます。今では、2~3種類の抗HIV薬が1錠に入っていて、1日1回1錠飲めば良いだけの薬も登場しています。ARTでは、HIV感染症を治癒させることはできませんが、体内でのウイルスの増殖を抑制し、免疫機能を高め、感染症と戦う能力を再生することができます。

効果的なARTの継続によって、感染者の血中HIV量(HIV RNA量)が検出限界値(200コピー/mL)未満に最低6ヶ月間抑えられ、それが維持されることにより、性行為による他者への感染が起こらないことが明らかになりました。このことより、U=U(ユーイコールユー:Undetectable = Untransmittable)、すなわち「検出限界以下では感染性が無い」、という新しい概念が近年一般的になりつつあります。(U=U Japan Project

予防

感染者の治療が二次感染の予防につながることが明らかになっています。しかしながら、自身の感染に気づいていない未治療の感染者も未だ多く存在すると考えられますので、HIV感染を予防するためには、コンドームを使用するなどより安全な性行為を守って行動することが大切です。コンドームを正しく使うことにより、HIVだけでなく他の性感染症も予防できます。

検査

HIVに感染しているかどうかを調べるためには、HIV検査を受けるしかありません。HIV検査は全国の保健所等で無料・匿名で受けられます。大阪府と大阪市では、保健所以外に利用しやすい夜間や週末に検査が受けられる検査場(ChotCAST)を開設しています。以下のホームページを参照してください。

Chot CAST

大阪府(おおさかエイズ情報Now)

大阪市

HIV検査・相談マップ

大阪健康安全基盤研究所関連ページ

HIV/エイズの現状-世界では?日本では?

参考

厚生労働省: HIV/エイズ予防対策

国立感染症研究所:病原微生物検出情報(IASR)Vol.41,No10(No.488) October 2020

FORTH: HIV/AIDSについて(ファクトシート)

大阪府:大阪府エイズ・HIV情報

大阪市:性感染症(HIV・AIDSを含む)に関する情報

おおさかエイズ情報NOW

エイズ予防情報ネット

World Health Organization: HIV/AIDS

UNAIDS

お問い合わせ

公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326