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大阪健康安全基盤研究所

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<論文紹介>いわゆる「健康食品」から医薬品成分(タダラフィルおよびクロロプレタダラフィル)を発見

掲載日:2026年3月23日

健康志向の高まりから、いわゆる「健康食品」が、世界中で流通しています。「健康食品」には法律上の定義はなく、健康の維持・増進効果を期待して摂られている食品全般を指します。他方で、医薬品は法律で定義されているため、健康食品とは明確に区別されます。しかし、健康食品の中には違法に医薬品成分を配合している製品が存在します。本記事では令和6年度に検査した健康食品から医薬品成分を検出した事例[1][2]についてご紹介します。

(この記事は専門家を対象に執筆されたものです)

■大阪健康安全基盤研究所(大安研)での健康食品買上調査

大安研では、大阪府・市の依頼を受け、強壮効果または痩身効果を有する医薬品成分40成分を対象として、市場で流通している健康食品のスクリーニング分析を行っています。また、医薬品成分の含有が疑われた場合、液体クロマトグラフ-四重極飛行時間型質量分析計(LC-QTOF/MS)および高速液体クロマトグラフ-フォトダイオードアレイ検出器(LC-PDA)等を駆使して、追跡(確認試験)を行います。令和6年度は国内市場で流通する健康食品24品目を買上調査しました。その結果、1品目から2種の医薬品成分(タダラフィル・クロロプレタダラフィル)が検出されました。健康食品として製造販売される製品でも、医薬品成分を含むものは医薬品として規制を受けます。

タダラフィルには、頭痛や潮紅等の副作用が報告されており、承認された用法・用量以外での摂取には健康被害のリスクがあります。また、クロロプレタダラフィルは医薬品として国内で承認されていません。調査で買い上げた本製品(図1)は、医薬品として承認されたものではなく、医薬品成分を違法に配合された製品であるため、安全性は担保されていません。
製品の写真と内容物

図1) 製品の写真とその内容物(はちみつ状)

■分析1:スクリーニング

製品を前処理した試料溶液をLCで分離し、標準溶液(医薬品40成分)と保持時間が一致する成分を調べます。クロマトグラム上で保持時間が一致したピークについて、PDAで得られた試料溶液の紫外吸収スペクトルを標準溶液と比較したところ、試料溶液中に医薬品成分(図2)が含まれていることが疑われました。

タダラフィルおよびクロロプレタダラフィルの構造

図2) タダラフィル (1) およびクロロプレタダラフィル (2) の構造

■分析2:確認試験(タダラフィルの検出)

確認試験にはLC-QTOF/MSを使用します。この機器はLCで分離した物質を質量分析する装置です。LCから溶出してきた試料溶液中の化合物をイオン化し、真空管中での飛行時間の違いを利用して、イオンを質量電荷比(m/z)に基づいて分離します。高い質量精度より精密質量を測定することができます。精密質量からイオンの化学式がわかるため試料溶液中に含まれる医薬品成分の同定が可能です。

試料溶液をLC-QTOF/MSで分析し、得られた全イオンクロマトグラムについて、m/z 390.1448で抽出したところ、約5.8分にピークが観察され、その保持時間(図3)および質量スペクトル(図4)が標準溶液と一致しました。

標準溶液の抽出イオンクロマトグラム
試料溶液の抽出イオンクロマトグラム

図3)標準溶液(上段)および試料溶液(下段)の抽出イオンクロマトグラム(m/z: 390.1448)

標準溶液の質量スペクトル
試料溶液の質量スペクトル

図4)標準溶液(上段)および試料溶液(下段)の質量スペクトル

■分析3:確認試験(クロロプレタダラフィルの検出)

分析2と同様に得られた全イオンクロマトグラムについて、m/z 427.1055で抽出したところ、ピークの保持時間が約11.6分であり、標準溶液のm/z 427.1055のピークの保持時間と一致しました(図5・6)。すなわち、標準品との保持時間・精密質量の一致により、当該製品にタダラフィルおよびクロロプレタダラフィルが含まれることを確認しました。


標準溶液の抽出イオンクロマトグラム
試料溶液の抽出イオンクロマトグラム

図5)標準溶液(上段)および試料溶液(下段)の抽出イオンクロマトグラム(m/z: 427.1055)

標準溶液の質量スペクトル
試料溶液の質量スペクトル

図6)標準溶液(上段)および試料溶液(下段)の質量スペクトル

■おわりに

本調査と類似の検出事例[3][4][5][6]が全国で報告され、各都道府県から注意喚起されました。

当研究所では、違法な製品を市場から排除すべく、健康食品に配合される可能性が高い医薬品成分の動向を調査し、今後とも検査を継続的に実施できる体制の確保及び積極的な情報提供に努めます。

お問い合わせ

衛生化学部 医薬品課
電話番号:06-6972-1362