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大阪健康安全基盤研究所

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ご存知ですか?液体ミルク

掲載日:2018年8月2日


乳児用調製液状乳(液体ミルク)は牛乳等を原料とし、これに乳児に必要な栄養素を加えて液状にしたもので、災害時など飲料水が確保できないときでも授乳ができる(注1)ことから注目を集めています。
これまで液体ミルクは、国内では流通していませんでしたが、2019年3月5日に消費者庁から特別用途食品の表示許可が降りたことにより、ついに全国販売が開始されました。


液体ミルクの制度

乳児用ミルクは、安全性を確保するための規格基準(定義、成分規格、製造や保存の方法など)に適合したものしか販売できません。
また、販売する液体ミルクのパッケージに乳児用である旨や諸注意を表示するためには、特別用途食品の許可(注2)または承認注3を受ける必要があります。
今回、消費者庁から降りた許可は、この乳児用である旨を表示するためのものです。


液体ミルクに関する法令のポイント

  1. 液体ミルクの製造を可能にするための法令参考1
    1. 乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)に『調製液状乳』の規格基準を追加

  2. 液体ミルクへの乳児用の表示を可能にするための法令参考2
    1. 特別用途食品に乳児用調製乳のカテゴリーを新設し、その下に乳児用調製粉乳(いわゆる粉ミルク)と乳児用調製液状乳の区分を設定(図参照)
    2. 乳児用の調製乳に求められる成分組成の基準にセレンを追加(平成34年4月1日から適用)
      • セレンは正常な生理機能を保つために非常に重要な微量元素
      • セレンが欠乏すると免疫や神経系,心血管系の疾患,がんなどに影響

特別用途食品の分類
特別用途食品に乳児用調製液状乳が追加
  

 

液体ミルクのメリット

  1. 調乳の手間が省ける(計量・哺乳瓶の手入れが不要、冷ます必要がないなど)
  2. 外出時や災害時など、いつでもどこでも授乳できる


液体ミルクのデメリット

  1. 粉ミルクに比べると割高
  2. 内容量が決まっているので、過不足が起きやすく、飲み残しの要因となる



飲み残しの扱いは?

栄養価の高いミルクは、細菌にとって非常に繁殖しやすい環境です。一度口を付けてしまうと、口から入り込んだ細菌がミルクの中で増殖してしまいます。飲み残しのミルクは勿体無いかもしれませんが、捨ててしまうことが大事です。
また、口を付けなかったミルクも空気との接触で細菌汚染が始まります。粉ミルクでは、調乳後2時間以内に使わなかったミルクは捨てるように指導されています参考3液体ミルクも同様に開封後2時間以内に捨てる方が安心です。

液体ミルクは、救援物資として被災地に届けられたことをきっかけに、日本でも知られるようになりました。
今回、ようやく店頭に並ぶ日を迎えたことにより、活用の場が広がることがが期待されます。


 注釈

注1: 2018年7月上旬の豪雨災害においても、十分に安全性に配慮したうえで、液体ミルクを被災地限定で流通させても良い旨の通知が出ています。(消費者庁 新着情報:2018年7月13日「平成30年7月豪雨を受けた乳児用液体ミルクの取扱いについて」)(本文へ戻る


注2:特別用途食品は食品に特別な用途を表示して販売することができる制度です。詳しくは消費者庁「健康や栄養に関する表示の制度について」をご覧ください。(本文へ戻る


注3:輸入品についても特別用途の表示をする場合は、国の審査を受ける必要があります。(本文へ戻る

 

参考資料

参考1:乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(法令等データベースサービス)本文へ戻る

参考2:特別用途食品の表示許可等について本文へ戻る

参考3:乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインの概要本文へ戻る

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