コンテンツにジャンプメニューにジャンプ
大阪健康安全基盤研究所

トップページ > 感染症 > エンテロウイルスD68型感染症

エンテロウイルスD68型感染症

掲載日:2019年5月22日

2014年8月~2015年1月、米国で呼吸器感染症の患者からエンテロウイルスD68型(EV-D68)の検出が急増しました(1,395例)。同時期に手足(四肢)の麻痺を伴う急性弛緩性麻痺の患者も多数報告されたことから、EV-D68と麻痺の関連性が疑われており、近年注目されている感染症です。今回、EV-D68感染症の概要と大阪での検出状況について報告します。

EV-D68感染症とは?

baby_hatsunetsu.png

EV-D68感染症は、軽度のかぜ様症状から重度の肺炎まで、主に呼吸器症状を主体とするウイルス感染症です。原因ウイルスは、EV-D68(一口メモ参照)です。乳幼児から成人まで感染しますが、国立感染症研究所は、国内事例の約80%が6歳未満と報告しており、乳幼児に患者が多いことが特徴です。
過去に米国や欧州でEV-D68感染症が流行した同時期に、四肢の麻痺を伴う急性弛緩性麻痺症例が増加しました。この時、急性弛緩性麻痺を発症した患者の一部からEV-D68 が検出されたことから、「EV-D68感染は呼吸器症状の原因となるだけではなく、急性弛緩性麻痺の原因となりうるかもしれない?」と疑われています。現在、世界中で研究が進められていますが、答えがでるには、もうしばらく時間がかかりそうです。

ウイルスの発見と大阪での検出状況

EV-D68は、1962年に米国で呼吸器感染症の乳幼児から初めて検出されました。 その後、検出されない時期が長く続きましたが、2010年前後から再び世界中でEV-D68 の検出報告が相次ぎ、日本でも2010年に初めて流行が認められました。

当所でも呼吸器感染症患者からのEV-D68の検出・解析を実施しています。その結果、大阪市内にて2010年、2013年、2015年、2018年にEV-D68の検出を確認しました(図)。2018年の流行期では、大阪府内の麻痺症例2例からEV-D68の検出が報告されました。その他、日本国内においてもEV-D68の流行期に、小児を中心とした急性弛緩性脊髄炎の患者が報告され、EV-D68感染症に対する関心が高まりつつあります。

Fig1.png
図. 大阪市内におけるエンテロウイルスD68型検出状況(2010~2018年)

予防と治療法について

ワクチンはありません。予防には、手洗い、うがいが大切です。治療法については、特効薬はなく症状を和らげる対症療法が中心です。かぜのような症状の後に普段とは異なる症状(麻痺症状など)が認められた場合は、早めに医療機関を受診しましょう。

一口メモ

【EV-D68とは?】
EV-D68はエンテロウイルス属に含まれるウイルスの1つです。
エンテロウイルス属は100以上のウイルスを含み、血清型や遺伝子型により、15種類(エンテロウイルスA~L、ライノウイルスA~C)に分類されます。EV-D68はエンテロウイルスDに分類されるウイルスです。

その他、エンテロウイルス属に分類されるウイルスの例としては、
ポリオウイルス:麻痺を伴う急性灰白髄炎(ポリオ)の原因
エンテロウイルスA71型・コクサッキーウイルスA6型:手足口病の原因
ライノウイルス:かぜの原因
などがあげられます。


参考資料

エンテロウイルスD68型(EV-D68)に関する国内の疫学状況のまとめ(更新)(2016年1月20日現在)(国立感染症研究所感染症疫学センター)

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/ev-d68/2339-idsc/iasr-in/6263-kj4322.html

エンテロウイルス D68感染症に関するQ&A(国立感染症研究所感染症疫学センター)

https://www.niid.go.jp/niid/images/idsc/disease/EVD68/EV-D68_QA20151022.pdf

中田恵子、本村和嗣、生田和良、小林和夫、奥野良信. 大阪府における急性弛緩性麻痺患者の検査状況とEV-D68が検出された患者の症例報告(病原微生物検出情報 40 p31-32:2019年2月号)

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/a/ev-d68/2339-idsc/idsc/iasr-in/8624-468d01.html

 

お問い合わせ

微生物部 微生物課
電話番号:06-6771-8331