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大阪健康安全基盤研究所

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カビって何もの?

掲載日:2000年7月

買いおきしておいたパンや果物にカビが生えて、悔しい思いをした経験は誰にもあると思います。カビは食品だけでなく、布、皮革、紙、タイルの目地、畳、壁等、家庭内のいたるところで知らない間に発育しています。温暖多湿の気候風土である日本は、非常にカビが生育しやすく、カビと人間が一緒に生活しているといっても過言ではありません。実際、毎年6月から7月初旬に続く梅雨は、同音であることから黴雨と書かれることもあります。赤、青、黄、緑、茶、黒、その時々に出現するこの多彩な色を持つカビとは、一体、どんなものでしょう。

カビの仲間

カビは真菌類に属し、酵母やキノコも同じ仲間です。酵母は大きさが5 μm程度の単細胞で、主として出芽によって増殖するのに対し、カビは糸状菌と呼ばれ、菌糸の先端部で伸長し、胞子を形成して繁殖します(図1)。キノコはその菌糸体が集まって大型の子実体になったものです。カビ、酵母、キノコは分類学的な区分ではなく、発育形態の相違による便宜的な名称です。実際、ヒトのカンジダ症の原因菌であるCandida albicansは二形成菌と呼ばれ、培養条件によって酵母形と菌糸形の両方の発育形態をとります。自然界に分布する真菌類は約45,000種とも言われていますが、私達の生活環境中で通常分離されるカビはおよそ数百種程度でしょう。

  • 図3 酵母とカビ(酵母)

    酵母

  • 図3 酵母とカビ(カビ菌糸)

    カビ菌糸

  • 図3 酵母とカビ(黒カビの一種)

    黒カビの一種(Cladosporium cladosporioides

図1.酵母とカビ

カビの形態

図2はカビの集落を上と横から観察した模式図です。菌糸には、植物の根に相当し栄養を吸収して伸長する基底菌糸と、茎に相当し先端部の胞子形成器官から胞子を形成する気菌糸とがあります。胞子は直径3から10 μmの球形、卵形の単細胞で、カビの色はほとんどこの胞子の色です。無数の粉状の胞子は空気中に飛散し、適当な環境条件下で発芽し、再び菌糸を形成し増殖を続けます。カビが増殖する食品や木材などの基質内には基底菌糸がもぐりこんでいます。カビが生えた餅を切ってみると、表面から1から3 cmぐらいまで菌糸が伸びているのが観察できます。

図4 カビのコロニー

図2.カビのコロニー

カビの発育条件

次の4つの条件(酸素、温度、水分、栄養分)が揃えば、カビは発育します。

  1. 酸素:カビは好気性の微生物で呼吸のために酸素が必要です。
  2. 温度:5から45℃で発育可能ですが、最適温度は20から30℃です。
  3. 水分(湿度):一般には水分含量が高いほど(80%以上)よく発育します。しかし、細菌が約50%以下の水分含量で発育できないのに対し、カビは、15から50%程度でも発育することができます。食塩や糖濃度の高い食品や乾物類に発生するカビは特に好稠性カビ、好乾性カビと呼ばれています。
  4. 栄養分:カビは植物と違って葉緑素を持たず、光合成ができないため、発育には有機物が必要です。どちらかというと、細菌が蛋白質の多い肉や卵を好むのに対して、カビは炭水化物や糖を含んだ穀類、豆類、いも類に好んで繁殖する傾向があります。

もうおわかりでしょうが、以上の4つの条件は人の生活環境とほとんど重なっています。4つのうちどれかひとつを完全に断てばカビは生育できませんが、ミネラルウオーターはもちろん、レンズやジェット機の航空燃料にまで生えることのできるカビは人間の想像以上の生命力を持っているようです。

カビの死滅条件

そのような強い、しぶといというイメージとは異なって、カビそのものは案外容易に死滅します。湿度100%で70℃・10分の加熱、消毒用エタノール、20 mg/L次亜塩素酸ナトリウム溶液等でほとんどのカビが死滅します。それでも、風呂場のカビが絶滅しないのは、浴槽のへりの防水用シール材に生えたカビの基底菌糸に物理的な除去法も届かず、薬剤も浸透しないためです。たとえ全て死滅させたとしても、環境が同じであれば、またそのうち、カビが繁殖することになります。

カビ汚染の防止

それでは、カビ汚染を防止するには具体的にはどうすればいいのか、家庭内で一番カビの発生頻度が高い風呂場について考えてみます。まずは生えてしまったカビは市販のカビ取り剤や次亜塩素酸ナトリウム溶液などを用いて、できるだけ除去します。(消毒用エタノールは濡れた壁に噴霧しても効果が低下するので要注意!)その後、防カビスプレーを吹き付けるのも効果があります。しかし、何と言っても一番のポイントは水分の除去です。壁面の水滴をタオルでふきとる、朝まで換気扇をつける、家族が多い場合は間隔をつめて入浴するなど、一日のうち乾燥した状態ができるだけ長く続くよう心がけましょう。

 

お問い合わせ

微生物部 細菌課
電話番号:06-6972-1321