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大阪健康安全基盤研究所

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モノクローナル抗体を利用した麻痺性貝毒の簡便・迅速な高感度検出法の開発

掲載日:2009年1月24日

動物に抗原(通常タンパク質)を注射する(免疫する)と、その血清中に抗原に特異的に結合する蛋白質(抗体)が産生されます。通常、一つの抗原には複数の抗原決定基(抗体が結合する場所)が存在するので、抗原で免疫した動物の血清中には、それぞれ異なった抗原決定基に結合する抗体が混ざった状態で存在します。このように均一でない抗体が多数混ざっている集合体をポリクローナル抗体といいます。これに対して、特定の抗原決定基だけと結合する均一な抗体の集合体をモノクローナル抗体といいます。このモノクローナル抗体は、抗原で免疫した動物から取り出した単一の抗体産生細胞と骨髄腫細胞を細胞融合させて作成した雑種細胞(ハイブリドーマ)を試験管内で培養することにより、その培養液中から得ることが出来ます。

通常、モノクローナル抗体は、抗原特異性(抗原を識別する能力)や抗原親和性(抗原に結合する能力)が優れているので、この性質を利用することにより抗原を簡便、迅速に高感度で検出することが可能となります。このため、モノクローナル抗体を作製する方法が開発されてから今日に至るまで、多くの病原体や有毒物質について、それらを抗原と認識するモノクローナル抗体が開発され、その検出法に利用されてきました。

我々の研究所においても、魚介毒であるフグ毒、麻痺性貝毒、下痢性貝毒及び記憶喪失性貝毒や食中毒原因物質である腸炎ビブリオとその病原因子(耐熱性溶血毒とその類似毒)、カンピロバクター及びナナホシクドアに対するモノクローナル抗体を作り出すことに成功し、それらを利用した簡便、迅速、高感度な検出法の開発に取り組んでいます。

ここでは、これらの中から、大阪湾において発生が度々報告されている麻痺性貝毒について、モノクローナル抗体の開発とその検出法への利用についてご紹介します。

麻痺性貝毒は、ある種の有毒プランクトンが産生する強力な神経毒で、この有毒プランクトンを食用二枚貝が餌として捕食することにより、その体内に蓄積されます。この毒化した二枚貝を人が摂食すると重篤な食中毒を引き起こすため、食用二枚貝におけるこの貝毒の蓄積を常にモニタリングすることが重要ですが、そのためには簡便、迅速、高感度な検出法が必要となります。現在、麻痺性貝毒の検出は、動物試験法(公定法)により行われていますが、精度や分析感度が不十分であり、簡便性、迅速性に欠けています。

そこで、私達は、これらの問題点を解決するために、麻痺性貝毒に対するモノクローナル抗体を作出し、それを利用して、簡便、迅速、高感度な検出法を開発することに取り組みました。麻痺性貝毒には、多数の誘導体が存在していることが知られていますが、作出に成功したモノクローナル抗体(GT13A抗体)は、日本における麻痺性貝毒の主成分であるゴニオトキシン群を初めとして、多数の麻痺性貝毒誘導体に幅広く反応することができました。このGT13A抗体を用いて開発された検査法(酵素免疫測定法:図を参照)では、二枚貝抽出液中の麻痺性貝毒の有無を約15分で判定することが可能であり、その検出感度は、公定法である動物試験法より数十倍優れていました。従来法によるモニタリングでは、時間、労力及び費用を必要としましたが、本法の開発によって、多数の検体を短時間に簡便に低コストで分析することが期待できます。
PSP-ELISA2 

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