11月は「薬剤耐性対策推進月間」です
掲載日:2021年11月10日
薬剤耐性とは
薬剤耐性(AMR:Antimicrobial Resistance)とは、それまで治療に用いられてきた薬剤に対し、細菌、寄生虫、ウイルス、真菌等の病原体が防御機構を獲得することをいいます。薬剤が効きにくくなるため治療が難しくなり、その病原体が引き起こす病気の流行、重症化や死亡リスクが高まります。
世界保健機関(WHO)の報告(2019年)3)によると、多剤耐性結核 注)4)で亡くなる23万人を含む、70万人が薬剤耐性病原体の引き起こす疾患で亡くなっており、薬剤の適正使用、薬剤耐性病原体の監視、感染管理の強化等の対策を実施しない場合、最悪のシナリオでは毎年1,000万人が亡くなる可能性があるといわれています。
注)多剤耐性結核:標準療法に使用される抗結核薬のうちリファンピシンとイソニアジドに耐性を持つ結核菌
抗菌薬の効かない耐性菌が増加しています
抗菌薬は細菌による感染症の治療に使う薬剤で、細菌を壊したり、細菌が増えるのを抑えたりします5)。新しい抗菌薬が開発されると、それに耐性を持つ細菌が出現するといったことが繰り返されています。また、新規の抗菌薬の開発には、莫大なコストと時間がかかるため、現在では新しい抗菌薬はほとんど出てこない状況です6)。
耐性菌を出現させないために
抗菌薬を処方された場合は、医師の指示通りの用法・用量・期間を服用することが重要です。自己判断で服用を中断してしまうと、薬に弱い細菌だけが減少し、薬剤耐性菌が生まれる場合や、増えてしまうことがあります7)。症状が改善された場合でも、処方された期間はきちんと飲み切ることが大切です。
【参照情報】
1) 内閣官房 11月は「薬剤耐性(AMR)対策推進月間」です
https://www.cas.go.jp/jp/houdou/r01_amrtaisakusuisin.html
2) WHO World Antimicrobial Awareness Week 18 - 24 November 2021
https://www.who.int/campaigns/world-antimicrobial-awareness-week/2021
3) Ad hoc Interagency Coordinating Group on Antimicrobial Resistance
4) 大阪健康安全基盤研究所 結核菌の多剤耐性について
http://www.iph.osaka.jp/s008/020/010/020/050/20180104162000.html
5) AMR臨床リファレンスセンター 抗菌薬とは
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-1-3.html
6) AMR臨床リファレンスセンター 日本の薬剤耐性菌の状況
https://amr.ncgm.go.jp/general/1-3-2.html
7) AMR臨床リファレンスセンター どのように耐性化するのか
http://amr.ncgm.go.jp/general/1-2-1.html
【その他関連情報】
大阪健康安全基盤研究所 薬剤耐性菌感染症 ー多剤耐性緑膿菌とはー
http://www.iph.osaka.jp/s008/020/010/030/120/20180104212000.html
大阪健康安全基盤研究所 薬剤耐性菌感染症 ーバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)感染症が増加していますー
http://www.iph.osaka.jp/s008/020/010/030/20210115105030.html
耐性病原体イメージ
お問い合わせ
公衆衛生部 健康危機管理課
電話番号:06-6972-1326